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 ひょうご労働安全衛生センタートピックス 2013-02-12 石綿肺がん訴訟―国の控訴を棄却(大阪高裁判決)
アスベスト・メンタルヘルス・長時間労働・労災・職業病

 


 労災不支給処分の取り消しを求め争っていた訴訟の大阪高裁判決が、3月22日に言い渡されました。

◆訴訟の概要
 港湾荷役において積荷の数量や状態を確認し証明する業務(検数業務)に、約20年間従事した英(はなぶさ)規雄さんは、2006(平成18)年1月10日に肺がんで亡くなられました。
 神戸港は日本でも有数の石綿を荷揚げする港で、日本の石綿輸入量が最大であった1976年には、全輸入量の約40%を神戸港が占めていました。石綿が入った袋は、神戸港に着くまでに手カギを用いて運ばれ、また輸送中の荷崩れによって破損するなど、石綿粉塵が大量に発生し飛散する状態でした。その袋を本船から艀に移し、艀から沿岸に荷上げする作業において、検数員は常にその傍らで作業を行い、大量の石綿粉塵に曝露したのでした。
 英さんは、生前中に神戸東労働基準監督署へ労災申請を行ったのですが、神戸東署は2006(平成18)年7月10日に不支給処分を決定し、処分の不服を申し立てた兵庫労働者災害補償保険審査官は同年12月20日に審査請求を棄却しました。さらに、労働保険審査会も2008(平成20)年7月30日に請求を棄却したのでした。
 国側が労災と認めなかった理由は、「肺内に蓄積された石綿小体が741本/gしかない」ということであった。そのため神戸地裁に、労災の不支給処分の取り消しを求め提訴したのでした。

◆地裁判決の内容
 石綿肺がんの労災認定基準は、内外の知見を踏まえ、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める石綿曝露量があれば、石綿を原因とみなすとなっています。国は「石綿小体が741本/gしかない」との理由で、石綿が原因ではないと判断したわけですが、逆に「石綿小体が741本/g」なら肺がんの発症リスクが2倍以下なのかということが、本裁判の争点でした。
 2012年3月、神戸地裁は、「リスクを2倍以上に高める石綿ばく露の指針として、石綿ばく露作業に10年以上従事した場合については、石綿ばく露があったことの所見として肺組織内に石綿小体又は石綿繊維が存在すれば足り、その数量については要件としない」と判断しました。さらに、「石綿小体数は業務起因性の判断基準ではなく、また仮に、石綿小体数を判断基準において考慮するとしても、クリソタイル(白石綿)ばく露では妥当しないと解されている」との見解も示されました。
 そして、「本件処分は違法であり、取り消しを免れない」と判断し、英さんが発症した肺がんを労災であると認めたのでした。

◆高裁で争われた点 判決内容
 国の控訴理由は、肺がんの発症危険度を2倍以上に高める石綿曝露があったことを認めるには、石綿ばく露作業に10年以上従事し、かつ、5000本以上の石綿小体の存在が必要であると主張したのでした。しかも、曝露作業への従事期間よりも医学的所見が優先するとの主張でした。
 今回の大阪高裁の判決文は、全文で僅か10ページと短いものです。まず、石綿ばく露作業への従事期間が10年以上であることは、肺がんの発症リスクを2倍に高める指標とみなすことができるとの見解を示しました。そして、「認定基準の『肺内に石綿小体又は石綿繊維が認められること』という要件は、『肺内に石綿小体又は石綿繊維が認められれば足り、その量的数値は問題としない。』という趣旨であると理解すべき」と述べ、地裁判決は間違っていないと判断したのでした。そのうえで、「原判決は相当である。」とし、「本件控訴は理由がないから棄却する」と判断したのでした。

◆全国の石綿肺がん訴訟への影響
 現在、国による石綿肺がんの不支給処分取り消しを求める訴訟は、全国で7件争われています。現在、石綿肺がん訴訟は原告側が4連勝中です。東京高裁で争われている小林裁判は、3月に結審し判決を迎えることとなりますが、現在の司法の流れが変わることがないと確信しています。

※ 今回の大阪高裁判決は、国側が上告を断念したため確定しました。




 

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