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NPO法人アスベスト被害者救済基金 第3回通常総会を開催

2019/01/20
◆経過
1021日(日)、兵庫県私学会館において、NPO法人アスベスト被害者救済基金第3回通常総会が開催されました。

金丸副理事長の司会で開会し、議長に全港湾神戸支部の宇野会員を選出しました。冒頭、神田理事長が挨拶をされ、多数のアスベスト裁判への傍聴参加による被災者の支援、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の活動への援助、新たな被害者の掘り起こしと救済活動の推進等について述べられました。

次に、ひょうご労働安全衛生センターの小西理事長が来賓として挨拶をされ、「現在の中皮腫や肺がんの認定基準は、被災者や弁護士の皆様の努力の積み重ねにより確立されてきたものであり、基金の皆様の闘いはご自身のためだけではなく、世の中のための大切な闘いであるので、これからも基金の皆様と共に一緒に頑張っていきたい」と述べられました。

◆前年度の活動報告と今年度の活動予定
西山理事から第1号議案の2017年度事業報告について、①NPO法人じん肺アスベスト被災者救済基金(横須賀)と共催の「肺ガン・中皮腫・アスベストホットライン」の開設、②「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の福岡支部の支部事務所開設への援助事業、③環境省が取り組む「石綿ばく露者の健康管理に係る施行調査」の実施自治体の拡大に向けた取組み及び神戸・三宮センター街でのマスク支援プロジェクトの実施、④「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ひょうご支部が主催した中皮腫サポートキャラバン隊による講演会への参加等について報告がありました。

その後、会計担当の高氏から第2号議案の2017年度会計収支決算報告、正木監事から第3号議案の会計監査報告が行われ、第4号議案の2018年度事業計画(案)、第5号議案の2018年度事業会計収支予算(案)、第6号議案の2018年度役員体制(案)が提案され、全ての議案が承認されました。


◆アスベスト訴訟の動向を学ぶ
総会の第2部は、アスベスト訴訟関西弁護団の位田浩弁護士から、「アスベスト訴訟をめぐる最新の動き」と題して記念講演が行われました。位田先生は2003年頃に関わった近鉄高架下事件が最初のアスベスト事件で、その後、2005年にクボタショックが起き、これは大変な事態になるということで弁護団を立ち上げ、被害者の救済を始めたと語られました。

次にアスベスト訴訟は損害賠償請求訴訟と労災や公務災害の不認定の行政処分の取消を求める行政訴訟の2種類に分けられ、さらに損害賠償請求は、①使用者企業への請求、②国・アスベスト企業への請求、③吹付け石綿のある建物所有者占有者への請求の3つに分けられると説明されました。

使用者企業への損害賠償請求では、現在、製造業、造船業、船舶業、港湾荷受業の会社を相手に裁判を係争中であり、それ以外に石綿製造業、車両製造の会社を相手にした裁判を準備中とのことでした。

国への損害賠償請求では、泉南アスベスト国賠訴訟において、201410月に最高裁判決で国の責任が認められ、判決後に厚生労働大臣がこの判決と同じ条件にあるような労働者には賠償する旨を表明したことにより、全国でこの泉南型国賠訴訟が行われるようになったと説明されました。

現在、国と建材メーカーに対するアスベス卜訴訟が、東京・神奈川・大阪・京都・九州・北海道で行われており、これまでに地裁7件、高裁4件の合計11件の判決があり、10件で国の責任、5件で建材メーカーの責任が認められました。こうした判決を力に、国と建材メーカーによる建設石綿被害者補償基金の創設が目指されていると話されました。

吹付け石綿のある建物所有者占有者への請求について、冒頭の近鉄高架下事件を例に挙げられました。1988年頃に学校アスベスト問題が騒がれ、当時の労働省(現、厚生省)、環境庁が石綿について多くの通達を出しており、この時期以降に吹付けのアスベストを放置していた場合、危険性を知りながら放置したとみなされ、民法7171項の工作物責任により、賠償を認める判決となったと説明されました。

最後に行政訴訟について、労災認定を求める裁判においては、業務起因性、業務以外での石綿ばく露の可能性、石綿小体や石綿繊維の数、プラークの有無、石綿ばく露期間等が焦点となります。国側が認定基準としている石綿小体や石綿繊維の数、石綿ばく露期間などについては医学的根拠に合理性はないとして争い、それが裁判で認められ救済の道が開かれるようになってきたと説明されました。

現在訴訟中の阪神淡路大震災時の公務による中皮腫に関する事件に関して、同震災の被災地域で同時期に業務に服し中皮腫を発症した警官が公務災害と認められた事例があり、認定をした地方公務員災害補償基金の支部に記録の開示を請求中とのことです。この記録が開示された場合は基金の認定基準や運用基準が明らかになるため、今後の裁判に活用したい旨を述べられました。
 

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