港湾荷役において積荷の数量や状態を確認し証明する業務(検数業務)に、約20年間従事した英(65歳)さんは、2006(平成18)年1月10日に肺腺がんで亡くなられました。
英さんは、ご生前中に神戸東労働基準監督署へ労災申請を行いましたが、神戸東労働基準監督署長は不支給処分を決定しました。処分の不服を申し立てましたが、兵庫労働者災害補償保険審査官も、労働保険審査会も請求を棄却したのでした。神戸東署が請求を棄却した理由は、「肺内に蓄積された石綿小体が741本/gしかない」ということです。
今回の提訴は、石綿肺がんの認定基準における石綿小体の数の問題について争う、初めての裁判となります。また、労働基準監督署の不支給処分の取り消しを求めるなかで、石綿肺がんの認定のあり方、石綿小体の数と肺がん発症リスクについて争うこととなり、今後の石綿肺がんの患者・家族の救済において大きな影響を与える裁判となります。
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