ブラジル人のAさん。
2007年6月、機械部品を溶接するためドラム缶を足場として用いて作業を始めたところ、
ドラム缶の中に溶接の火花が入り爆発し、Aさんは約2メートル吹き飛ばされ、
右膝・右手関節骨折、右膝靭帯断裂等々の大けがしました。
すぐに労災の手続きを行い、その後は労災補償を受けながら治療とリハビリを続けていました。
しかし、2010年の年明け頃から、休業補償の打ち切りに関する打診が行われ始めました。
この頃のAさんは、右膝の痛みが続いており、和式のトイレは使用することができない状態でした。
さらに、右手首にも痛みがあり、湿布をして3種類のサポーターを使って対処している状態でした。
こうした状態でありながら、大津署は2010年7月末日を以て症状固定と判断したのでした。
その後、障害補償給付の請求を行い、「右手関節」の可動域と疼痛、
「左下腿部」の疼痛に障害が認められるとして、障害等級併合第11級とされました。
障害等級に関してAさんから相談を受けたのですが、
右手関節と右膝関節の可動域に関して局医の意見に疑問があったため、主治医との面談を行いました。
すると主治医より、右手関節に関しては、これまで何ら処置を行っておらず、
手術をすることにより改善の見込みがあるとの見解が述べられたのでした。
そこで、主治医に協力を求め、さっそく「再発」の申請を行いました。
その結果、先日Aさんの元に認定通知書が届きました。
通知書を見ると、2010年8月23日からという決定でした。
大津署が症状固定と判断した約3週間後から、同じ署が「再発」の決定を行ったのです。
外国人労働者にとっては、言葉や文化、法の違いにより、
医師や監督署の担当官との緻密なコミュニュケーションをとることは困難を伴います。
だからこそ労働行政はより慎重に対応する必要があると考えます。
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