Bさんは約14年間、ゴム製品の製造作業に従事し、肺がんで亡くなられました。
2011年7月に神戸東労働基準監督署に請求を行ったのですが、9月には不支給処分とする決定が通知されたのでした。
請求から決定まで55日間であり、土日を除けば調査期間は僅か39日でした。
労災と認められなかった理由は、医学的所見である胸膜プラークに関して、
局医が「ない」と意見を述べたからでした。審査請求において当センターは、水嶋医師の意見書を添え、
審査官に対しては「石綿確定診断委員会に意見を求めるように」強く要望しました。
すると、確定診断委員会から「胸膜プラークと診断できる」との回答があり、労災として認定されることとなったのでした。
胸膜プラークの有無に関しては、残念ながら読影する医師により異なる見解が出されることが多々あります。
石綿肺がんの認定率が低位で推移しているのは、胸膜プラークの有無に関する判断が、
局医の読影力に左右されていることも要因としてあげられます。
局医の判断が大きいとはいえ、実質的な調査日数が僅か39日で不支給とするのでは、あまりにも調査がお粗末すぎます。
1件1件の請求に対して、真摯に、そして真剣に向き合ってもらいたいものです。
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