2005年のクボタショック後、当時の尾辻厚生労働大臣は、アスベスト被害者の救済に向け迅速処理通達を発出し、新法制定に動きました。長期の潜伏期間の後に発症するという、石綿関連疾患の特異性を認識した対応でした。
ところが最近、「石綿曝露作業歴が不明である」との理由で不支給となる事案が、地域センターが支援する事案のなかで増えており、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会として厚生労働大臣あてに要請を行いました。
9月2日、参議院の田村智子議員に協力していただき、厚生労働省に申し入れを行い、意見交換を行いました。国側からは、「アスベスト問題については重く考えている。尾辻大臣の国会答弁も引き継いでいる」との見解が示されました。申し入れを行うきっかけとなった案件について国側の見解を求めましたが、具体的な回答は示されず、「ばく露認定に関する評価の違い」という言葉が何度も繰り返されました。
クボタショック後の国会審議において、当時の尾辻厚生労働大臣は、「長い時間が掛かっておるからその証明に、曝露歴の証明に困難なことが多いということは十分に配慮して今後の対応はしなきゃならぬ」、「今まではアスベストに曝露されたということがいわば証明されないと労災認定しないということにいたしておりましたけれど、もうそういう作業に従事しておられたということでもってこれは認定の条件にしようというふうにいたしました。」との答弁を行っています。そして、全国の労働基準監督署の監督官は、多くの相談・申請に対応しながらアスベスト被害者を救済するため奮闘しました。
被災者を救済するということを第一に考えることが、行政として問われているのではないでしょうか。
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