2012年(平成24年)3月、石綿による疾病の認定基準が改訂されました。
石綿肺がんの認定要件のうち胸膜プラークに関する部分は、以前の基準より緩和されたといえます。
今回、わずか16か月間だけ石綿ばく露作業に従事した男性が発症した肺がんについて、
長崎労働基準監督署は労災であるとの認定を行いました。
これほど短期間での石綿曝露による肺がん発症事案を、労災と認めるのは珍しいケースです。
これまで肺がんの場合、石綿ばく露作業への従事期間が10年とされており、
10年未満については本省協議扱いとなっていました。2012年基準においては、
高濃度ばく露が推認でき、広範囲に胸膜プラークが認められる場合は、従事期間要件が大きく緩和されたのでした。
今回のケースは、広範囲に胸膜プラークが認められたため認定になったのでした。
7月1日、厚生労働省は、平成25年度の石綿による疾病の請求・決定状況を発表しました。
請求件数は全国で1113件となっており支給決定件数は1008件でした。
疾病別の支給決定件数は、中皮腫が528件、肺がんが383件、びまん性胸膜肥厚が53件、
良性石綿胸水が44件、石綿肺が77件(1008件とは別カウント)です。
中皮腫であっても労災認定件数は約半数という状況で、石綿肺がんは中皮腫よりも少ないという傾向が続いています。
埋もれている被害者の掘り起しと、認定基準改訂の十分な周知が必要です。
そして何よりも、ばく露作業を重視した認定基準への改正が求められています。
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