12月4日、中皮腫で死亡した被害者の遺族が、国に1430万円の損害賠償を求め、鹿児島地裁に提訴しました。
被害者の前村さんは、出稼ぎで大阪府茨木市のカナエ石綿工業で働き、石綿とガラス繊維を混合させたものを型に入れてプレス機械で成型する作業に従事しました。2002年に悪性胸膜中皮腫と診断され、茨木労働基準監督署は2006年に業務上災害の決定を行いました。
提訴後の会見で前村さんのご遺族は、「父は、近くに住む人にも声をかけ、集団で出稼ぎに行っていた。そのため、埃のする大変な仕事を先頭になって働いていたと聞いている。」「国が早く対策を取っていれば、病気にならずに済んだかもしれない。」「父は息苦しさで夜も眠れないほど苦しんでいた。」「同じように出稼ぎで働いた人を救済するためにも、今回先頭を切って提訴した。」と話されていました。
厚労省の発表によると、カナエ石綿における労災認定件数は、肺がん3(うち時効救済分2)、中皮腫2の合計5名となっています。この間、鹿児島での相談会を通じて、前村さんと一緒にカナエ石綿で働いた方々からの相談も受けており、被害者はさらに広がると思われます。引き続き、被害者の掘り起しと補償救済の取り組みを、鹿児島センターと連携し強めていきます。
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