4月22日、神戸市北区の新名神道路延長工事「有馬川橋設置現場」で、長さ120メートル、重さ1350トンの橋桁が落下する事故が発生し、2名の労働者が死亡、8名が重軽傷を負いました。被災労働者の救済や遺族補償などはもちろん最優先すべきですが、事故原因を究明することも同じくらい重要です。
その矢先の5月19日、今度は箕面市の新名神高速道路延長工事「余野川橋現場」で、橋桁を支える鉄製の支柱台「ベント」(高さ13メートル、重さ21トン)が倒壊しました。ケガ人が発生しなかったのは不幸中の幸いですが、報道で驚いたのは「西日本高速道路は管内で実施中の工事114件を全て中断し安全点検をやり直すと決めた」という発表です。同社によると、4月の事故発生後いったん全ての工事を中断して点検し、4月28日には「安全が確認された」として工事を再開し、余野川橋現場も同社関西支社の社員が目視で「問題無し」として再開を指示していました。原因不明でも工事を再開していたことになります。
高速道路の建設現場でよく見かける、橋桁を支えるベントは「通常の作業」だと言われています。
では、何故倒れたのでしょう?村尾光弘関西支社長は「全く分からない」とし、「人員不足や工期の重圧といった影響は無い」とコメントしました。工事関係者によるとベントと橋桁の間には作業用の「サンドル」という板状の部材が挟まれており、「工事計画のため適切な範囲内で(下請業者が)それをズラしていた」「5月にしては気温が高く、橋桁が数センチ伸びていた」ため均衡が崩れた、と語っています。でも、そんな高速道路の工事現場は沢山あるのではないか、と考えてしまいます。
新名神は当初の18年度開通予定を今年度内にしたという「いわくつき」の工事です。高速道路の工事現場は到る所にあり、点検で原因を見つけることが出来ないのなら「みんな危ない」ということになります。一刻も早い原因究明と対策が求められています。
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