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2019年度 石綿による疾病の労災補償状況

2020/07/17
◇石綿による疾病の労災補償状況

2019(令和元)年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ」を、6月24日、厚生労働省が公表した。請求件数は1,206件(前年度に比べ43件増)で、支給決定件数は1,090件(前年度に比べ93件増)となっている。

なお、石綿肺については、じん肺として労災認定された事案のなかから抽出し集計され、2019(令和元)年度は52件(前年度60件)であった。

また、石綿による疾病により死亡した労働者の遺族で、時効(5年)によって労災保険の遺族補償給付を受ける権利が消滅した人については、「石綿救済法」に基づき、「特別遺族補償給付金」が支給される制度が設けられている。2019(令和元)年度の特別遺族給付金の請求件数は42件(前年度は38件)で、支給決定件数は22件(前年度は31 件)となっている。
*決定件数は当該年度以前に請求があったものを含む。


◆救済率は低率のまま

厚生労働省は、毎年、人口動態統計に基づき、中皮腫による死亡者数の年次推移を公表している。昨年11月に公表された2018(平成30)年の中皮腫による死亡者数は全国で1, 512 人となっており、死亡者数4年続けて1,500人台となっている。

ところが、中皮腫の労災請求件数は、2019年度678件、2018年度649件、2017年度571件、2016年度595件となっている。支給決定件数についても、2019年度640件、2018年度534件、2017年度564件、2016年度540件となっている。

中皮腫の2倍といわれている石綿肺がんの求件数は、2019年度445件、2018年度417件、2017年度443件、2016年度427件となっている。支給決定状況についても、2019年度373件、2018年度376件、2017年度335件、2016年度387件となっており、中皮腫よりも少なく300件台が続いている。


◇兵庫県の支給決定状況

兵庫県内の請求件数は99件で、支給決定件数は73件であった。疾病別にみると、中皮腫は請求件数56件で支給決定件数49件、肺がんは請求件数36件で支給決定件数20件、良性石綿胸水は請求件数4件で支給決定件数2件、びまん性胸膜肥厚は請求件数3件で支給決定件数2件となっている。

請求件数が多い都道府県をみると、東京134件、大阪128件、北海道108件、兵庫99件、神奈川72件となっている。支給決定件数が多いのは、東京153件、北海道97件、大阪90件、神奈川79件、兵庫73件となっている。

2019年度の石綿関連疾患による労災支給決定件数は1,000件を超えたが、それでも救済されていない被災者が多くいることが数字から読み取れる。