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パワハラ・うつ病・精神疾患
マツヤデンキ 店長らからのいじめ、暴行で労災認定
2015/07/20
◆経緯
マツヤデンキ西脇店で働く
F
さん
(28
歳)は、
2009
年の入社以来、店長から日常的にいじめや暴言を受けてきました。そのため、他の従業員も店長にならっていじめや暴言を行うようになり、それがエスカレートして
2013
年
6
月、複数回にわたって殴る蹴るなどの暴行事件が起きました。身体にも心にも大きな傷を負った
F
さんは、その後出勤出来なくなり、いまも休業が続いています。今年
3
月、西脇労働基準監督署は
F
さんの休業を労働災害と認定しました。
◆けがの認定
2013
年
6
月
23
日、企業内組合の副執行委員長
K
から殴る蹴るの暴行を受けた事件は、医師から「右前腕部」「頭部」「左腰部」の打撲傷として、約
10
日間の通院加療を要するとの診断を受けた。当時のカルテには「会社の上司に殴られた」との記述があり、また打撲跡の部位が図示されていました。
7
月
2
日には、同僚
I
から
2
リットルのお茶が入ったペットボトルを頭部めがけて振り下ろされ、それがメガネを直撃し、メガネが左眼球に当たり、「左目眼球打撲」「左外傷性虹彩炎」「全治
10
日」のケガをしました。
F
さんから相談を受けた一人でも入れる労働組合・ユニオンは、まず、
2
件のケガの労災申請から行うことにしました。
6
月
23
日の事件について、加害者
K
が否認していることから監督署の調査も時間を要しましたが、
2014
年
5
月、業務上の指導の一環として暴力行為が行われたと判断し、療養費(治療代)の支給決定が行われた。
◆心の傷の認定
療養費が認められたことから、
2014
年
9
月
30
日、休業についての労災申請を行い、認定要件に照らして、申請書類を準備しました。
1)認定基準の対象疾病
F
さんは暴行事件後、不眠や激しい胃痛によるおう吐などの症状が増悪して休業に至っており、
7
月
22
日の受診で「うつ病、不眠症」と診断され、投薬治療を受けています。
2)業務による強い心理的負荷
疾病の発症原因は、いくつか考えられたため、
8
号様式とは別に提出する「申立書」に
F
さんの主張を出来るだけ詳しく記載し、その裏付けとなる資料(証拠)も提出しました。
・仕事の量・質(
1
ヵ月に
80
時間以上の時間外労働を行った)
まず、長時間労働について主張しました。店の営業時間は
10
時から
20
時まで。当然、開店前準備と閉店後作業があります。交代制でないために、残業が前提の勤務シフトです。しかも
F
さんは、朝の荷受けも命じられており、
9
時までに出勤するよう指示を受けていました。パソコンで出退勤管理をしているのですが、その入力作業は副店長や主任等が行っており正確ではなく、実際、
F
さんの朝の出勤時間は
9
時
30
分、退社時間の多くは
20
時とされていました。毎週金曜日は値札張り替えのため、帰宅時間が
23
時以降になることもありました。毎日、全従業員が一斉退社してセキュリティーをセットしており、残業時間が月
100
時間前後であったと主張しました。
・対人関係(ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた)
入社以来、日常的にいじめや嫌がらせを受けてきたこと、
6
月
23
日から
7
月
2
日の間に繰り返し激しい叱責・暴行等を受けたと主張しました。
F
さんが入社以来、誰からどのようないじめや嫌がらせなど受けてきたかをまとめたメモを提出するとともに、
F
さんの昼休み時間が
16
時以降とされていたことも、具体的ないじめの証拠として主張しました。
一番重要だと思われた
6
月
23
日から
7
月
2
日にかけて起きた
5
つの暴行事件については、一つひとつの出来事を具体的にまとめた店舗の配置図を作成しました。また、事件当日に撮った殴られた跡の写真(顔や腕)、知人と暴行事件について語ったチャットの記録、壊されたメガネなども提出しました。
◆監督署の判断
まず、「日常的ないじめ・嫌がらせ」については、「事業場関係者からの裏付け証言及び伝聞証言は得られず、事実確認はできなかった」と判断しました。
「仕事の量・質」について、警備会社から入退館情報を取り寄せ調査したが、
36
協定の範囲(
1
日
3
時間、
1
ヵ月
42
時間、
1
年につき
320
時間)を大きく超えてはいたが、最大でも月
68
時間
15
分であるとの結論でした。そうした中で、決め手となったのは
6
月
23
日と
7
月
2
日の
2
つの暴力事件です。
1
つ目の事件は、加害者
K
や同僚らが否認している中での認定となりました。監督署は、「事業場関係者は、そのような事実はなかったと証言しているものの、西脇警察署からの回答書及び医証から、請求人(
F
さん)の主張の方に信憑性の高さが窺えるため、おおむね請求人が主張するような事実があったものと解される。」とし、「治療を要する程度の暴行を受けたものに相当することから、心理的負荷の総合評価は『強』程度と判断される」としました。
また、
7
月
2
日の事件も同主旨の判断で、「強」と判断されました。よって、「具体的な出来事」で、心理的負荷が「強」と判断され、加えて、個体側要因がないことから、
2015
年
3
月
20
日、西脇労働基準監督署は、労災認定しました。精神疾患に伴う休業請求としては、請求から
7
ヵ月での認定であり、比較的スムーズな認定となりましたが、それは療養費の決定までに半年以上の時間を費やしたことが背景にあるといえます。
◆復帰に向けて残された課題
私傷病での休業期間満了を理由に解雇された
F
さんでしたが、労災認定を勝ち取り、従業員としての地位は回復しました。しかし、全従業員が「日常的ないじめ・嫌がらせはなかった」と証言している職場に戻るためには、多くのハードルが待ちかまえています。
なぜ、日常的にいじめや暴力が支配する職場になったのか。なぜ、誰もが真実を語ろうとしなかったのか。加害者は、今後も事実はなかったと言い続けるのだろうか。こうした問題の整理ができなければ、
F
さんの職場復帰は困難だし、真の職場環境の改善にはつながらないと考えます。
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マツヤデンキ西脇店で働くFさん(28歳)は、2009年の入社以来、店長から日常的にいじめや暴言を受けてきました。そのため、他の従業員も店長にならっていじめや暴言を行うようになり、それがエスカレートして2013年6月、複数回にわたって殴る蹴るなどの暴行事件が起きました。身体にも心にも大きな傷を負ったFさんは、その後出勤出来なくなり、いまも休業が続いています。今年3月、西脇労働基準監督署はFさんの休業を労働災害と認定しました。
◆けがの認定
2013年6月23日、企業内組合の副執行委員長Kから殴る蹴るの暴行を受けた事件は、医師から「右前腕部」「頭部」「左腰部」の打撲傷として、約10日間の通院加療を要するとの診断を受けた。当時のカルテには「会社の上司に殴られた」との記述があり、また打撲跡の部位が図示されていました。
7月2日には、同僚Iから2リットルのお茶が入ったペットボトルを頭部めがけて振り下ろされ、それがメガネを直撃し、メガネが左眼球に当たり、「左目眼球打撲」「左外傷性虹彩炎」「全治10日」のケガをしました。Fさんから相談を受けた一人でも入れる労働組合・ユニオンは、まず、2件のケガの労災申請から行うことにしました。6月23日の事件について、加害者Kが否認していることから監督署の調査も時間を要しましたが、2014年5月、業務上の指導の一環として暴力行為が行われたと判断し、療養費(治療代)の支給決定が行われた。
◆心の傷の認定
療養費が認められたことから、2014年9月30日、休業についての労災申請を行い、認定要件に照らして、申請書類を準備しました。
1)認定基準の対象疾病
Fさんは暴行事件後、不眠や激しい胃痛によるおう吐などの症状が増悪して休業に至っており、7月22日の受診で「うつ病、不眠症」と診断され、投薬治療を受けています。
2)業務による強い心理的負荷
疾病の発症原因は、いくつか考えられたため、8号様式とは別に提出する「申立書」にFさんの主張を出来るだけ詳しく記載し、その裏付けとなる資料(証拠)も提出しました。
・仕事の量・質(1ヵ月に80時間以上の時間外労働を行った)
・対人関係(ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた)
一番重要だと思われた6月23日から7月2日にかけて起きた5つの暴行事件については、一つひとつの出来事を具体的にまとめた店舗の配置図を作成しました。また、事件当日に撮った殴られた跡の写真(顔や腕)、知人と暴行事件について語ったチャットの記録、壊されたメガネなども提出しました。
◆監督署の判断
まず、「日常的ないじめ・嫌がらせ」については、「事業場関係者からの裏付け証言及び伝聞証言は得られず、事実確認はできなかった」と判断しました。
「仕事の量・質」について、警備会社から入退館情報を取り寄せ調査したが、36協定の範囲(1日3時間、1ヵ月42時間、1年につき320時間)を大きく超えてはいたが、最大でも月68時間15分であるとの結論でした。そうした中で、決め手となったのは6月23日と7月2日の2つの暴力事件です。1つ目の事件は、加害者Kや同僚らが否認している中での認定となりました。監督署は、「事業場関係者は、そのような事実はなかったと証言しているものの、西脇警察署からの回答書及び医証から、請求人(Fさん)の主張の方に信憑性の高さが窺えるため、おおむね請求人が主張するような事実があったものと解される。」とし、「治療を要する程度の暴行を受けたものに相当することから、心理的負荷の総合評価は『強』程度と判断される」としました。
また、7月2日の事件も同主旨の判断で、「強」と判断されました。よって、「具体的な出来事」で、心理的負荷が「強」と判断され、加えて、個体側要因がないことから、2015年3月20日、西脇労働基準監督署は、労災認定しました。精神疾患に伴う休業請求としては、請求から7ヵ月での認定であり、比較的スムーズな認定となりましたが、それは療養費の決定までに半年以上の時間を費やしたことが背景にあるといえます。
◆復帰に向けて残された課題
私傷病での休業期間満了を理由に解雇されたFさんでしたが、労災認定を勝ち取り、従業員としての地位は回復しました。しかし、全従業員が「日常的ないじめ・嫌がらせはなかった」と証言している職場に戻るためには、多くのハードルが待ちかまえています。
なぜ、日常的にいじめや暴力が支配する職場になったのか。なぜ、誰もが真実を語ろうとしなかったのか。加害者は、今後も事実はなかったと言い続けるのだろうか。こうした問題の整理ができなければ、Fさんの職場復帰は困難だし、真の職場環境の改善にはつながらないと考えます。