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職場のいじめ・パワハラ相談ホットライン
夜間帯の受付に52件の相談

2015/06/20
◆夜間帯の受付に52件の相談

いじめ・パワハラ問題に関しては、国の指針が設けられるなど社会的にも関心が高まっています。平成26年度に厚生労働省の総合労働相談に寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する件数は59,000件となっており、対策は急務です。

当センターや個人加盟の労働組合であるユニオンには、職場のいじめ・パワハラに関する相談が寄せられますが、最近は特に増加傾向にあります。その原因は様々でしょうが、一つには人権意識の高まりがあり、職場での嫌な出来事を我慢せず訴える傾向が強くなったことがあると考えます。もう一つは、職場で滅茶苦茶でとんでもないことが起きており、人間扱いされない職場の労働環境の劣悪化が影響し、止むを得ず声を上げざるを得ないという状況が生まれていると考えます。

そうした中で、行政の相談窓口が閉まる夜間の時間帯に、相談を受け付ける「職場のいじめ・パワハラ相談ホットライン」を、518日(月)から22日(金)までの5日間、ひょうごユニオンと共に開設しました。夜間専門の相談対応は私たちも初めての試みですが、昼間の時間帯では相談することができない方々から計52件(後日分を含む)の相談が寄せられました。


◆最近の相談事例から

この間、センターやユニオンには、いじめ・パワハラ問題について、とんでもない職場実態や人間関係がいびつな職場環境による訴えが寄せられ、改めて問題の深刻さと多くの職場で蔓延していることを実感しています。

≪相談事例1
家電量販店で正社員として勤務。入社以来些細なミスの度に、店長から殴られたり蹴られたりしてきた。また、「転勤させるぞ」「辞めさせるぞ」「出ていけ」等の言葉による暴力も浴びせられてきた。また、昼休みも一人だけ16時~18時の間と設定され、他の従業員とは全く違う扱いを受けてきた。
店長の暴力は段々とエスカレートし、さらには同僚らも加わるようになり、殴る蹴るの暴力事件が発生。そのうちの1件は前腕部・腰部・頭部に約10日間の通院加療を要する打撲傷を負い、もう1件はあわや失明かという眼球打撲等で全治1週間の診断を受け、警察に被害届を提出。
こうしたことから職場に出勤できなくなり、医師から「うつ病」「不眠症」の診断を受け、休職することとなった。
*労災申請を行い、業務上災害と認定。

≪相談事例2
体調不調で受診したところ、うつ病と診断され通院加療中。体調を崩す前の時期に、上司からの暴言・パワハラと長時間労働があった。
朝の会議は、予定時間を大幅に超え2時間に及ぶこともあった。上司の話は荒々しく威圧的で、大声で30分以上続くこともあり、机を叩いたり蹴ったりすることもあった。また、上司に呼ばれ、上司の机の前に長時間立たされ、大声で叱責され、他の係りの社員から「何かあったのか」と心配されるほどだった。上司からの暴言と叱責される時間が増え、そのため作業時間が潰れ、残業時間が増えた。1ヵ月に100時間を超える時間外労働が続き、体調を崩した。
*ユニオンに加入。会社からの謝罪と未払い残業分の賃金支払いを受ける。

≪相談事例3
夫が倉庫内の入荷品の運搬・検収作業の仕事をしていた。会社の社長から、勤務終了後や休日に宴会に呼び出され、他の社員の前で土下座や叱責をうけることが度々あった。そうしたことが続く中で、私が家に帰ると、夫がテーブルに包丁を3本並べていたため、病院を受診させたところ「うつ病」と診断された。夫は約5ヵ月間休職したのち職場復帰したが、復帰後もうつ病にみられる症状が出てきたため、医療機関の受診を勧めた。
しかし、医療機関を受診した事実が社長に発覚すると解雇されると思い、医療機関を全く受診しなかった。その後、夫が自宅の駐車場の車内で、「一酸化炭素中毒」で死亡しているのを発見した。夫が精神疾患を発症したのは、社長のパワハラが原因だと思う。労災申請できないか?
*労災申請を行い、一部業務上と認定。


◆電話相談の内容と考察

今回の相談件数は全体で52件(期間中は48件で、その後も相談は続いている)でした。相談者は労働者本人だけではなく、親や家族からの相談も8件ありました。

相談者の性別については、男性からの相談が15件(29%)、女性から33件(63%)、末確認が4件。女性からの相談が男性の2倍以上であり、女性が働きづらい労働環境におかれていることがうかがえます。

相談者の年齢については、全体の約半数の23件から回答がありました。20代が1件、30代が5件、40代が6件、50代が9件、60代以上が2件でした。全体として40代を中心とする働き盛りの年代からの相談が多い傾向が見られました。

相談者の雇用形態については、全体の7割にあたる36件から回答があり、正社員が23件、パート・アルバイトが9件、委託・派遣・契約社員•その他がそれぞれ1件であった。雇用が安定している正社員においても労働環境に問題があることが見受けられます。

相談者の住所地については、回答があった15件では、神戸市4件、西宮市2件、明石市・伊丹市・西脇市・姫路市・京都府・大阪府・滋賀県・徳島県がそれぞれ1件でした。相談者の勤務地については、回答があった24件では、神戸市5件、芦屋市2件、明石市・伊丹市・西脇市・三木市・相生市・姫路市・香美町がそれぞれl件、大阪府6件、和歌山県1件、滋賀県1件、愛知県2件となっており、愛知県の2件を除くと相談者の住所地の近隣地域となっています。


◆「受容と共感」の姿勢

その他にも、解雇や長時間・過重労働に関する相談も有りました。今回寄せられた相談の多くは労働条件に起因するものであり、その意味では労働問題です。ユニオンのメンバーと共にホットラインを開設した事で、具体的な労働条件の改善については労働問題として解決する方法を提案することができました。

相談者の多くは、解決方法を探している方よりも、自らの酷い体験や悩みを聞いて欲しい方の方が多い傾向にあります。これからも「受容と共感」の姿勢で、相談者の相談内容を親身に聴き、相談内容に寄り添うことの大切さを改めて実感しています。引き続き、いじめ・パワハラ問題への相談対応を行っていきます。

 

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