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胸膜中皮腫を発症されたAさんから相談を受けたのは、昨年(2011)の11月末だった。Aさんは、高校を卒業した1962(昭和37)年に、大阪にあった香料製造会社に入社した。1983(昭和58)年の大阪工場廃止に伴い、岡山県に新築された岡山工場へと移り、2004(平成16)年の定年退職まで製造部門一筋で勤務されたのであった。
昨年10月に胸水の貯留が確認されたため、精密検査を行ったところ「胸膜中皮腫」と診断され、11月末に手術を行う予定とのこと。連絡を受け、直ぐに岡山の自宅へ伺った。
◆石綿を直接手で掴んでふりかける
Aさんから香料の製造過程に関して説明していただいたが、直接手で石綿を掴んで使用していたと聞いて驚いた。液体香料の製造過程における抽出ろ過工程において、浮遊するオイル分を除去する目的で、液体香料の入ったタンク内に、手袋もせず缶に入った白石綿を直接手で掴んで投入していたのである。また、その後の作業行程であるタンクから香料を抽出する際にも、ろ過紙の上に白石綿を手で直接ふりかける作業を行っていたのである。
つまり、ろ過の行程で、余分なオイル分を白石綿に付着させ、必要な液体香料だけを抽出していたのである。こうした工程を、一日に5~6回行っていたそうである。石綿が入った缶は倉庫に山積みされており、自由に現場まで持ち出していたとのこと。石綿の危険性について何も知らされていなかったため、直接手で触り、マスクも使用せず作業を行っていたのである。工場内の粉末香料の製造部門には粉じん吸入装置が設けられていたのであるが、「液体香料部門にはそうした設備はなく、白い粉が舞いあがる状況で作業が行われていた」と、Aさんは話された。
原酒をろ過して清酒にする際に石綿が使用されていたというが、香料の製造過程でも同じ使用方法が取られていたのである。
◆「白石綿は大丈夫」
今年1月に淀川労働基準監督署に労災申請を行い、3月末に業務上との決定が行われた。事業所が石綿を使用していた事実を証明したことも、迅速な認定につながったものと思われる。だが、クボタショックの直後に、Aさんが「害はないのか」と聞いたところ「白石綿で食品なので大丈夫」と聞かされたとのこと。回答した担当者は、石綿の発がん性を知っていて嘘をついたのか、知らずに答えたのか、どちらであれ石綿を使用した従業員にとって大問題である。同じ作業に従事した社員もおり、会社はその人たちに対して使用実態の周知と健康診断の実施を、至急行うべきである。