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歯科技工士は、歯科医師の指示により義歯や歯冠などを作成・加工する作業に従事します。歯科技工士の作業室は、比較的狭い空間で行われます。また、義歯や歯冠の作成工程においては研磨作業があり、粉じんを多く吸引する環境といえます。また、金属を溶かしたり、電気炉を用いて歯の詰め物等を作成するため、石綿リボンや断熱材として石綿が使用されていました。歯科技工の作業は、歯科技工士だけではなく歯科医も行ってきた作業です。そのため、厚生労働省が発表した石綿労災認定事業所には、すでに歯科医院の名称も含まれているのです。今後、歯科技工士の石綿ばく露による健康被害が懸念されますが、健康管理対策について十分な周知が行われていません。
そうした中、センターの会員である歯科技工士のAさんが、石綿健康管理手帳の取得申請を行ったところ、兵庫労働局から手帳が交付されました。
歯科技工士として石綿を取り扱う作業に従事したことをもって申請を行い、認められたのでした。健康管理手帳制度について知らない方が多いため、離職後の健康管理対策について、行政として積極的な周知活動が求められています。
◆Aさんの声
先日、私は石綿健康管理手帳を交付されました。歯科で石綿が使用されていることをご存知の方は少ないと思います。
まず、歯にかぶせる物や詰め物を作る時に、円柱形の金属リングの内側に薄く帯状に加工された石綿を巻きます。次に、患者さんの歯からとった型をこの金属リングに入れ、電気炉で燃やして完成させていました。また、石綿をパウダー状に加工したものを使用していましたし、金属を溶かす等の作業は石綿製品である円柱形の台の上で行っていました。このように、色々な場面で石綿が使用されていました。
私自身、センターの方に教えていただくまでは、石綿健康管理手帳の制度について全く知りませんでした。歯科関係で働く人の中で、この制度を知っている方は少ないのが現状だと思います。国はもっと広報に力を入れ、石綿を取り扱ったことのある人たちに知らせて欲しいと願っています。