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同じ建築現場で働き同時期に肺がんを発症されたFさんのご兄弟。石綿肺がんとして神戸西労働基準監督署に労災申請を行ったのですが、兄は認定、弟は不支給という結果でした。不支給の理由は、石綿小体・石綿繊維の数が認定基準に達していないということでした。そのため、不支給処分の取り消しを求め、7月8日に神戸地裁へ提訴しました。石綿繊維数の評価を巡っては、全国で初めてのケースです。
◆兄弟で同時期に肺がんを発症
原告の夫Eさんは、約36年に渡り型枠大工としてビル・マンション・大型店舗等の建築作業に従事し、2008年3月に肺がんで亡くなられました。Eさんのお兄さんも、約40年に渡り型枠大工として建築作業に従事し、2007年10月に肺がんで亡くなられました。二人は、長男が社長である藤田組の従業員として働き、作業現場もほぼ同じでした。
二人は同じ病院で肺がんの治療を受けたのですが、同時期に肺がんを発症したことに疑問を抱いた主治医が、石綿との関連を疑い労災申請を薦めたのでした。そこで、2008年3月、Eさんとお兄さんのご遺族は、神戸西労働基準監督署に労働災害の申請を行いました。
ところが、神戸西署は2009年8月、弟さんのEさんは不支給、お兄さんについては認定という違った決定を行ったのでした。
◆石綿繊維数が問題に
石綿による肺がんの認定基準は、①第1型以上の石綿肺、②胸膜プラーク+石綿ばく露作業10年以上、③石綿小体又は石綿繊維+石綿ばく露作業10年以上、となっています。厚生労働省の事務通達では、「作業内容、ばく露形態、石綿の種類…等を勘案し、総合的に判断する」としているのですが、実際には石綿小体が5,000本/g以下の場合はほぼ不支給とされています(401本や334本で労災と認定された事例もある)。今回のお二人の事案について、神戸西署は石綿繊維の数を問題にしたのでした。
認定基準によると、「5μm以上の石綿繊維が200万本以上。1μm以上の石綿繊維が500万本以上認められた場合は、石綿ばく露作業への従事期間が10年未満であっても業務上として取り扱う」とされています。本来は石綿ばく露期間が10年未満の方を救済するために設けられた本数基準なのですが、10年ばく露が明らかな被災者にもこの本数が用いられているため、肺がんの救済が進まない原因となっているのです。
◆1μmを超える石綿繊維
ばく露した石綿の種類はほぼ同じ石綿小体の本数については、お兄さんが410本で、弟のEさんは918本でした。そのため、さらに精査のため石綿繊維の計測が行われたのでした。その結果は、上の表のとおりです。お兄さんの場合、1μmを超える繊維の数が概ね500万本認められるとして、労災認定されたのでした。
お二人の石綿の種類を比べると、計測された石綿の種類とその割合はほぼ同じであることがわかります。このことからも、二人が同じ作業現場で同じ作業に従事し、同じ作業環境の下で同じ様に石綿にばく露したことは明らかなのです。
しかし、神戸西署は、石綿繊維の本数のみもって、Eさんの労災申請を不支給としたのでした。
今回の提訴は、石綿肺がんの認定基準における石綿繊維数の評価を争う裁判となります。現在、神戸地裁においては、M裁判(プラークの有無)、H裁判(石綿小体の本数)、K裁判(石綿小体の本数)の3件の石綿肺がん裁判が行われており、Fさんは4件目となります。今後、同一期日で4つの裁判が進行することとなります。
石綿肺がんの救済に向けて、ぜひご支援をお願いします。