NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

労災・職業病・労働環境など
お気軽にご相談ください

TEL 078-382-2118
相談無料・秘密厳守
月〜金: 9:00-18:00
  • トップ
  • < 地震・石綿・マスク支援プロジェクト

地震・石綿・マスク支援プロジェクト

2011地震・石綿・マスク支援プロジェクトin神戸

2011/01/18
マスクプロジェクトの全国展開へ阪神淡路大震災から15年を迎えた20101月、実行委員会形式で「震災とアスベストを考えるシンポジウム」「マスクプロジェクト」を取り組み、多くの皆様のご協力を得て成功させることができました。

この取り組みを契機として、地震・石綿・マスク支援プロジェクトが本格的に始動することとなりました。震災時に飛散する可能性が高いアスベストから身を守るために、①アスベスト用のマスクの備蓄活動、②アスベストの危険性を知らせる啓発活動、③既存建物に存在するアスベスト建材の除去の推進、を活動課題とするマスクプロジェクトは、昨年9月の防災週間には東京でのイベントを成功させることができました。


◆阪神・淡路大震災の経験から

私たちは、震災の復旧・復興工事において、解体された建物から飛散したアスベスト(石綿)粉じんの恐ろしさを訴えてきました。それは、震災を契機に大量のアスベストが飛散したことから、被災地においてアスベストによる病気が発症するのではないかと危惧したからです。

20082月、私たちの懸念は、残念ながら現実になってしまいました。復興作業において、倒壊した建物の解体工事に従事した労働者が、アスベストによる中皮腫を発症したことが判明したからです。アスベストによる病気は、潜伏期間が長く、発症まで数十年と言われています。しかし、アスベストによる健康被害が、すでに始まっているのです。

地震大国・日本では、大都市部を襲い甚大な被害をもたらすことが予想される地震の発生が警戒されています。その時に発生する環境問題、とりわけアスベスト対策について、問題意識を共通化し、早急に対策を講じることが求められています。そこで、阪神大震災を経験した私たちだからこそ、発信し続ける教訓があると考え、「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の取り組みを開始しました。


◆パネル展・講演会・街頭宣伝を実施

今年は「2011地震・石綿・マスク支援プロジェクトin神戸」の開催を企画しました。今回は、3つの企画で構成しており、一つ目は「パネルで考える震災とアスベスト」と題したパネル展、二つ目は「マスクで考える震災とアスベスト」と題した講習会、三つ目は「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」を街頭で展開する行動です。

「パネルで考える震災とアスベスト」展は、16日(木)から11日(火)までの6日間、JR神戸駅地下のデュオぎゃらりーで開催しました。阪神淡路大震災において、倒壊した建物から如何にアスベストが飛散したのか、如何に無防備な状態で解体作業を行っていたかを写真で紹介しながら、地震の際にマスクが必要であることを訴えました。また、若い世代にも、アスベスト問題をわかりやすく理解できるようにと、神戸大学と京都精華大学の皆さんで進められている「アスベスト・マンガプロジェクト」について、パネルを通じて紹介させていただきました。

パネル展の来場者数は、私たちの予想をはるかに超え、6日間で1,521人の来場がありました。また、(株)重松製作所・スリーエムヘルスケア(株)・興研(株)の各社から提供いただいたマスクは、会場に展示させていただきましたが、着用を希望される方には機械を用いてフィッテングテストを行いました。ご家族で入場される方も多く、マスクを着用した小学生からは以下のような感想が寄せられました。

・私は、じしんの時にマスクを使わないと、はいがんになるということをしれたし、ふんじんをすわないようにマスクをくばることが大切だということがわかりました。
・今まで、こんなにフィットしたマスクは初めてです。とてもじしんの時にやくにたつと思います。


◆地震で特別なマスクが必要なわけ

10日には、「マスクで考える震災とアスベスト・マリさんのマスク教室」を開催しました。阪神淡路大震災の際に、誰よりもいち早く被災地に駆けつけ、小学校でマスクの正しい付け方教室を開き、街頭でマスクを配布する活動を展開されたマリ・クリスティーヌさん(国連ハビタット親善大使)。彼女を講師に迎え、「子どもたちの安全な未来のために」と題して、震災時のマスク配布の教訓と今後の災害への対策について話していただきました。

また、東京労働安全衛生センターの飯田さんにも来ていただき、「どこにあるの?私たちの街のアスベスト」と題して、沢山の写真を用いて身近にあるアスベストの危険性について紹介していただきました。さらに、アスベストセンターの永倉さんからは、「なぜ必要なの?地震で特別なマスク」と題して、中越地震や能登半島地震の際に現地に入りアスベストの飛散状況の調査を行い、マスクの必要性を配布した教訓について報告していただきました。マスク教室は、午前の部と午後の部に分けて行ったのですが、2回とも会場(50名定員)一杯の参加がありました。震災時におけるマスクの必要性について、市民の方々に知っていただく機会となりました。参加していただいた方からは、後日以下のようなお手紙をいただきました。


◆1月17日街頭宣伝でアピール

阪神淡路大震災から16年を迎える、117日。この日、朝から三宮・フラワーロードを中心にマスクプロジェクトの宣伝活動とマスク配布・正しい着用のパフォーマンスを行いました。

三宮駅前のマルイ前にテントを建て、テントには震災とアスベストを考えるパネルを張りだしました。今年は17日が平日だったことも有り、昨年よりは若干人通りも少なかったのですが、アスベスト患者と家族の会の皆さんにご協力をいただき、ハンドマイクによる訴えとチラシの配布を開始しました。

また、30分毎に、マスクの正しい着用方法についてのパフォーマンスを行い、協力いただいた方々には、(株)重松製作所・スリーエムヘルスケア(株)・興研(株)の各社から提供いただいたマスクを配布しました。約2時間の取り組みでしたが、1,500枚のチラシと300枚のマスクを配布することができました。

さらなるマスクプロジェクト活動の発展を昨年に続いての行動となり、阪神淡路大震災の被災地にマスクプロジェクトが着実に定着しつつあることを実感しました。阪神淡路大震災から16年が経ち、街の景観は見違えるようになりました。しかし、震災を経験した一人ひとりの心の中には、当時の記憶がしっかりと刻まれており、地震・マスク・アスベストをキーワードに多くの市民の方々と共通の話題として語り合えることを、この間の取り組みを通じ確信することができました。

今後も、震災時のアスベスト飛散に対応するために、マスクの備蓄を訴え活動を進めていく決意です。これからも、さらにマスクプロジェクトの活動を全国展開するため頑張っていきますので、今後とも宜しくお願いします。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。