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労災事故・障害補償・審査請求
片目失明事故 再審査請求でも棄却
2010/11/20
◆労働者ではなく事業主と判断
A
さんは、
1998
年
6
月
18
日、プラスチックをリサイクルするために粉砕機に投入したところ、粉砕されず破片が跳ね返り左目にあたり負傷しました。「左外傷性水晶体脱臼」と診断され、左目は失明状態となったのでした。そのため、
A
さんは大津労働基準監督署に休業補償給付の請求を行ったのですが、大津署は
A
さんが労働基準法第
9
条に定める労働者とは認められないとして不支給処分を決定したのでした。審査請求も棄却、そして労働保険審査会も、
10
月
13
日付で請求を棄却したのでした。
◆労働者性が認められず労災不支給
2006
(平成
18
)年秋、派遣会社を解雇されたばかりの
A
さんは、新しい仕事場を探していました。以前に一緒に働いていた人が会社を経営している事を知り、雇ってもらうようお願いしたのですが、「社員としては使えない。請負なら良い」と言われたのでした。
A
さんは、日本語がほとんどわからず、しかも「社員」と「請負」に違いも解っておらず、働く場を確保するために社長から言われるがまま請負契約を結んだのでした。しかし、この請負契約を結んだがために、
A
さんは労働者ではなく、事業主と判断されたのでした。
◆労働力確保を意図しての契約
会社は、労基署の調査のなかで、「以前にブラジル国籍の方を雇用していた際に、その方が喧嘩を起こして問題となったという苦い経験もあり、これらの理由から
A
さんを従業員として雇用するということは難しいという考えに至りました。そこで、労働契約ではなく、業務請負契約であれば、事業場内で仕事をしてもらっても構わないという結論に至りました」と述べています。
この供述内容から、会社が「業務請負契約なら仕事をして構わない」と判断した意図が理解できます。つまり、何か問題が起きた場合に会社側が責任を回避できるようにとの思惑が汲み取れるのです。それに、会社側には業務を請け負わせるというよりも、労働力を確保するために契約を結ぶという意図が、発言に明確に表れています。
◆労働実態は労働者
A
さんと契約した作業内容について、会社は「委託する業務内容は、破砕作業、プレス作業となっております。…事業所内に収集される材料の中に切断しないとプレスや粉砕加工できない様な大型の材料が目立ってきたために、プレス加工、粉砕加工に関連した作業として、契約書には盛り込まれておりませんが、材料をチェーンソーや丸のこ盤で切断する作業もしてもらう様になりました」と述べています。
ここで注視しなければいけないのは、請求人の作業内容は単純労働であったという点です。というのは、請求人が行っていた労働は、指定された場所に置かれている材料を①機械の近くに運び、②大きな材料を切断する作業、③粉砕する作業、④プレスする作業です。つまり、日常的に指示が無くても誰でもできる作業であったということです。しかも、日常的に工場長の指揮、監督の下で労働に従事していたのです。こうした労働実態は、請負労働というよりも明らかに労働者としての単純労働といえます。
◆単に労働力を提供するだけの実態
また、
A
さんは、会社から事業場のカギを渡されていないため、朝出勤しても会社の従業員が出勤するまでは事業場内に入ることができず、労働時間を延長しようにも休日に労働しようにも、会社の従業員が働いている時間及び日でないと働けなかったのです。つまり、
A
さんは、労働時間等に関する指示及び管理を自ら行うことはできなかったのです。
さらに、作業に際して必要な機械・器具について、プレス機、粉砕機、フォークリフト等の他に作業服・ヘルメット・ゴーグル等がありますが、これらは全て会社が用意していました。そもそも、請負業務を行うに当たっての資金を、請求人はまったく調達しておらず、業務に必要な全ての機械等を会社側が調達していたのでした。
それに、会社が所有するプレス機、粉砕機、フォークリフト、チェーンソー、丸のこ盤等の機械を頻繁に使用しているにもかかわらず、会社からは使用料を一切請求されていません。こうした労働実態からも、会社と請求人との請負契約の実態は、単に肉体的な労働力を提供するものであることは明らかです。
◆不支給処分は生存権を奪うこと
労災保険の労災補償を受けられる労働者とは、他人の指揮監督の下に労働し、そのことによって賃金を受け取る者のことです。ですから、雇用契約を結んでいるかどうかは関係なく、請負契約を結んでいるかどうかも関係なく、他人の指揮監督の下に有償労働を行っているか否かの実態を重視し労働者性を判断するべきです。
そのため、経営者としての色彩が濃厚な株式会社の取締役であっても、「事実上、業務執行権を有する取締役、理事、代表社員等の指揮、監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、原則として労働者として取り扱うこと」との判例もあるのです。左目が失明状態となりながら、労災保険法による補償を受けることができない状態は、国が被災者の日々の生存権を奪っていることに等しい行為といえます。今回の棄却は労働実態を考慮しない不当な裁決です。
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Aさんは、1998年6月18日、プラスチックをリサイクルするために粉砕機に投入したところ、粉砕されず破片が跳ね返り左目にあたり負傷しました。「左外傷性水晶体脱臼」と診断され、左目は失明状態となったのでした。そのため、Aさんは大津労働基準監督署に休業補償給付の請求を行ったのですが、大津署はAさんが労働基準法第9条に定める労働者とは認められないとして不支給処分を決定したのでした。審査請求も棄却、そして労働保険審査会も、10月13日付で請求を棄却したのでした。
◆労働者性が認められず労災不支給
2006(平成18)年秋、派遣会社を解雇されたばかりのAさんは、新しい仕事場を探していました。以前に一緒に働いていた人が会社を経営している事を知り、雇ってもらうようお願いしたのですが、「社員としては使えない。請負なら良い」と言われたのでした。Aさんは、日本語がほとんどわからず、しかも「社員」と「請負」に違いも解っておらず、働く場を確保するために社長から言われるがまま請負契約を結んだのでした。しかし、この請負契約を結んだがために、Aさんは労働者ではなく、事業主と判断されたのでした。
◆労働力確保を意図しての契約
会社は、労基署の調査のなかで、「以前にブラジル国籍の方を雇用していた際に、その方が喧嘩を起こして問題となったという苦い経験もあり、これらの理由からAさんを従業員として雇用するということは難しいという考えに至りました。そこで、労働契約ではなく、業務請負契約であれば、事業場内で仕事をしてもらっても構わないという結論に至りました」と述べています。
この供述内容から、会社が「業務請負契約なら仕事をして構わない」と判断した意図が理解できます。つまり、何か問題が起きた場合に会社側が責任を回避できるようにとの思惑が汲み取れるのです。それに、会社側には業務を請け負わせるというよりも、労働力を確保するために契約を結ぶという意図が、発言に明確に表れています。
◆労働実態は労働者
Aさんと契約した作業内容について、会社は「委託する業務内容は、破砕作業、プレス作業となっております。…事業所内に収集される材料の中に切断しないとプレスや粉砕加工できない様な大型の材料が目立ってきたために、プレス加工、粉砕加工に関連した作業として、契約書には盛り込まれておりませんが、材料をチェーンソーや丸のこ盤で切断する作業もしてもらう様になりました」と述べています。
ここで注視しなければいけないのは、請求人の作業内容は単純労働であったという点です。というのは、請求人が行っていた労働は、指定された場所に置かれている材料を①機械の近くに運び、②大きな材料を切断する作業、③粉砕する作業、④プレスする作業です。つまり、日常的に指示が無くても誰でもできる作業であったということです。しかも、日常的に工場長の指揮、監督の下で労働に従事していたのです。こうした労働実態は、請負労働というよりも明らかに労働者としての単純労働といえます。
◆単に労働力を提供するだけの実態
また、Aさんは、会社から事業場のカギを渡されていないため、朝出勤しても会社の従業員が出勤するまでは事業場内に入ることができず、労働時間を延長しようにも休日に労働しようにも、会社の従業員が働いている時間及び日でないと働けなかったのです。つまり、Aさんは、労働時間等に関する指示及び管理を自ら行うことはできなかったのです。
さらに、作業に際して必要な機械・器具について、プレス機、粉砕機、フォークリフト等の他に作業服・ヘルメット・ゴーグル等がありますが、これらは全て会社が用意していました。そもそも、請負業務を行うに当たっての資金を、請求人はまったく調達しておらず、業務に必要な全ての機械等を会社側が調達していたのでした。
それに、会社が所有するプレス機、粉砕機、フォークリフト、チェーンソー、丸のこ盤等の機械を頻繁に使用しているにもかかわらず、会社からは使用料を一切請求されていません。こうした労働実態からも、会社と請求人との請負契約の実態は、単に肉体的な労働力を提供するものであることは明らかです。
◆不支給処分は生存権を奪うこと
労災保険の労災補償を受けられる労働者とは、他人の指揮監督の下に労働し、そのことによって賃金を受け取る者のことです。ですから、雇用契約を結んでいるかどうかは関係なく、請負契約を結んでいるかどうかも関係なく、他人の指揮監督の下に有償労働を行っているか否かの実態を重視し労働者性を判断するべきです。
そのため、経営者としての色彩が濃厚な株式会社の取締役であっても、「事実上、業務執行権を有する取締役、理事、代表社員等の指揮、監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、原則として労働者として取り扱うこと」との判例もあるのです。左目が失明状態となりながら、労災保険法による補償を受けることができない状態は、国が被災者の日々の生存権を奪っていることに等しい行為といえます。今回の棄却は労働実態を考慮しない不当な裁決です。