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労災事故・障害補償・審査請求
不正行為の内部告発後にうつ病発症 再審査で逆転認定裁決
2010/08/20
◆労働保険審査会逆転認定の裁決
三菱重工神戸造船所に勤務する
N
(以下、請求人とする)さん。大規模工事の現場を統括する「監理技術者」資格の不正取得を内部告発した後、仕事を取り上げられ体調を崩したとして、神戸西署に労災申請を行ったが不支給処分とされ、審査請求においても棄却。そのため、再審査請求を行っていたのであるが、
7
月
14
日、労働保険審査会は不支給処分を取り消す裁決を行った。
◆経過
請求人は、平成
16
年
4
月に電気設計課に配置換えとなり、勤務するようになったのであるが、複数の社員が虚偽の実務経験証明書を国土交通省の外郭団体に提出して監理技術者資格証を不正取得していたことが判明し、同年
7
月にコンプライアンス委員会に投書したのであった。そのため、同年
10
月の課内チームの統合に伴い、報復として請求人の担当業務は全くなくなってしまい、同じく
10
月頃から職場内で無視されるように感じるようになったのであった。
その後、平成
17
年
1
月初旬、眉毛の脱毛や頭痛等を自覚するようになり、同年
2
月
22
日に心療内科を受診したところ「脱毛症、うつ状態、自律神経失調症」との診断を受けたのであった。
◆原処分庁の判断
兵庫地方労災医員協議会精神障害等専門部会(以下、専門部会とする)は、請求人の労災申請に対して、平成
16
年
4
月の人事異動後の同年
10
月に課内チームの統合が行われたことを、心理的負荷評価表に基づき「配置転換があった」(心理的負荷「Ⅱ」)に該当すると判断した。
そのうえで、客観的に評価できるいじめやトラブルが確認されないとして心理的負荷を「Ⅰ」に修正し、過大な責任や恒常的時間外労働の発生もなく、業務も補助業務から開始しており「事業場の支援が講じられた」として、総合評価を「弱」としたのであった。
◆審査会の判断
審査会は、請求人が主張する①平成
16
年
10
月から担当業務が全くなくなった、②平成
16
年
10
月頃から職場内で無視されるように感じるようになった、③内部告発したことにより緊張感をもった、の
3
点について検討を行っている。
まず、第
1
点目については、
10
月の人事異動により、請求人が本来業務に携わる余地がなくなったことを認め、心理的負荷評価表の「仕事の内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」に該当するとして、心理的負荷は「Ⅱ」であると判断した。さらに、請求人の担当業務が、カタログ管理や安全用具管理など、請求人の専門分野とはかけ離れた雑務というべき補助的業務の担当にされ、他の社員が忙しくする中で仕事がほとんどない状態に置かれており、心理的負荷は「Ⅲ」に修正すべきと判断している。
次に、
2
点目については、具体的なエピソードがないため、客観的に見て、当該事実があったと認めることはできないと判断している。最後の
3
点目については、請求人がコンプライアンス委員会に投書し、その後委員会側とメールをやり取りしていることが認められ、「上司とのトラブルがあった」を類推適用し、心理的負荷は「Ⅱ」と判断している。
そして、当該の出来事後の状況が継続する程度について検討が加えられ、「元々従事していた現場での業務がなくなり、自分の技能や知識を仕事で使うことが全く要求されなくなった」、「請求人が課長に何も仕事がないので現地工事の業務をさせてもらうよう申し出たにもかかわらず、会社はこれに何らの対応もせず」、「請求人に仕事がほとんどない状態を知りながらこれを改善しようとする積極的な動きを何ら取らなかった」として、「相当程度過重であった」と認めたのである。そのうえで、「本件疾病発症前おおむね
6
ヵ月間における業務に関連する出来事としては心理的負荷の強度Ⅲ及びⅡの二つの出来事が認められ、出来事の状況に対する会社側の支援が全くなかったことから」、総合評価を「強」と判断したのであった。
◆仕事を与えられないことも内容・量の変化
業務に関連する出来事をどう捉えるかによって、総合評価が「弱」から一転して「強」へと変わったのである。請求人は配置転換そのものよりも担当業務がなくなってしまったことが心理的負荷の原因になったと主張していたにもかかわらず、出来事を「配置転換があった」ことと評価したことが原処分庁及び専門部会の誤りである。確かに配置転換はあったのであるが、その事に伴う仕事の内容及び仕事量の変化を軽視した誤りである。しかも、「請求人が主張する出来事には、請求人の被害的ともいえる思い込み、とらわれ執着、こだわり等が関連している」と切り捨てており、この対応は余りにも酷い。
それに対して、審査会は、不正行為を告発したことにより仕事を取り上げられた事実、そして仕事がないことによる心理的負荷を正当に評価したのであった。請求人が監督署及び審査官の聞き取りに対して、一連の出来事に伴う苦労や苦痛を丁寧に話し込んだ内容が資料として残っているが、審査会の審理までこの資料が活かされなかったことが残念である。請求人は、「内部告発後の会社の対応に問題があった点を認めてもらい、本当にうれしい」と話されていた。それにしても、当たり前の主張が「思い込み」として切り捨てられ、審査会での審理を待たないと認められないというのも非常に残念なことである。
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三菱重工神戸造船所に勤務するN(以下、請求人とする)さん。大規模工事の現場を統括する「監理技術者」資格の不正取得を内部告発した後、仕事を取り上げられ体調を崩したとして、神戸西署に労災申請を行ったが不支給処分とされ、審査請求においても棄却。そのため、再審査請求を行っていたのであるが、7月14日、労働保険審査会は不支給処分を取り消す裁決を行った。
◆経過
請求人は、平成16年4月に電気設計課に配置換えとなり、勤務するようになったのであるが、複数の社員が虚偽の実務経験証明書を国土交通省の外郭団体に提出して監理技術者資格証を不正取得していたことが判明し、同年7月にコンプライアンス委員会に投書したのであった。そのため、同年10月の課内チームの統合に伴い、報復として請求人の担当業務は全くなくなってしまい、同じく10月頃から職場内で無視されるように感じるようになったのであった。
その後、平成17年1月初旬、眉毛の脱毛や頭痛等を自覚するようになり、同年2月22日に心療内科を受診したところ「脱毛症、うつ状態、自律神経失調症」との診断を受けたのであった。
◆原処分庁の判断
兵庫地方労災医員協議会精神障害等専門部会(以下、専門部会とする)は、請求人の労災申請に対して、平成16年4月の人事異動後の同年10月に課内チームの統合が行われたことを、心理的負荷評価表に基づき「配置転換があった」(心理的負荷「Ⅱ」)に該当すると判断した。
そのうえで、客観的に評価できるいじめやトラブルが確認されないとして心理的負荷を「Ⅰ」に修正し、過大な責任や恒常的時間外労働の発生もなく、業務も補助業務から開始しており「事業場の支援が講じられた」として、総合評価を「弱」としたのであった。
◆審査会の判断
審査会は、請求人が主張する①平成16年10月から担当業務が全くなくなった、②平成16年10月頃から職場内で無視されるように感じるようになった、③内部告発したことにより緊張感をもった、の3点について検討を行っている。
まず、第1点目については、10月の人事異動により、請求人が本来業務に携わる余地がなくなったことを認め、心理的負荷評価表の「仕事の内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」に該当するとして、心理的負荷は「Ⅱ」であると判断した。さらに、請求人の担当業務が、カタログ管理や安全用具管理など、請求人の専門分野とはかけ離れた雑務というべき補助的業務の担当にされ、他の社員が忙しくする中で仕事がほとんどない状態に置かれており、心理的負荷は「Ⅲ」に修正すべきと判断している。
次に、2点目については、具体的なエピソードがないため、客観的に見て、当該事実があったと認めることはできないと判断している。最後の3点目については、請求人がコンプライアンス委員会に投書し、その後委員会側とメールをやり取りしていることが認められ、「上司とのトラブルがあった」を類推適用し、心理的負荷は「Ⅱ」と判断している。
そして、当該の出来事後の状況が継続する程度について検討が加えられ、「元々従事していた現場での業務がなくなり、自分の技能や知識を仕事で使うことが全く要求されなくなった」、「請求人が課長に何も仕事がないので現地工事の業務をさせてもらうよう申し出たにもかかわらず、会社はこれに何らの対応もせず」、「請求人に仕事がほとんどない状態を知りながらこれを改善しようとする積極的な動きを何ら取らなかった」として、「相当程度過重であった」と認めたのである。そのうえで、「本件疾病発症前おおむね6ヵ月間における業務に関連する出来事としては心理的負荷の強度Ⅲ及びⅡの二つの出来事が認められ、出来事の状況に対する会社側の支援が全くなかったことから」、総合評価を「強」と判断したのであった。
◆仕事を与えられないことも内容・量の変化
業務に関連する出来事をどう捉えるかによって、総合評価が「弱」から一転して「強」へと変わったのである。請求人は配置転換そのものよりも担当業務がなくなってしまったことが心理的負荷の原因になったと主張していたにもかかわらず、出来事を「配置転換があった」ことと評価したことが原処分庁及び専門部会の誤りである。確かに配置転換はあったのであるが、その事に伴う仕事の内容及び仕事量の変化を軽視した誤りである。しかも、「請求人が主張する出来事には、請求人の被害的ともいえる思い込み、とらわれ執着、こだわり等が関連している」と切り捨てており、この対応は余りにも酷い。
それに対して、審査会は、不正行為を告発したことにより仕事を取り上げられた事実、そして仕事がないことによる心理的負荷を正当に評価したのであった。請求人が監督署及び審査官の聞き取りに対して、一連の出来事に伴う苦労や苦痛を丁寧に話し込んだ内容が資料として残っているが、審査会の審理までこの資料が活かされなかったことが残念である。請求人は、「内部告発後の会社の対応に問題があった点を認めてもらい、本当にうれしい」と話されていた。それにしても、当たり前の主張が「思い込み」として切り捨てられ、審査会での審理を待たないと認められないというのも非常に残念なことである。