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労災職業病・安全衛生の取り組み
震災とアスベストを考えるシンポジウム
2010/01/16
阪神淡路大震災から
15
年。
1
月
16
日、神戸市勤労会館大ホールにおいて、「震災とアスベストを考えるシンポジウム」が開催された。ひょうご安全センターが呼びかけた実行委員会が主催し、アスベストセンターと石綿対策全国連絡会議が協賛、兵庫県と神戸市が後援したもので、
300
人を超える参加があった。
翌
17
日は、三宮・フラワーロードにおいて、「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の宣伝を行いながら、アスベスト用防じんマスクの配布と装着の実演講習をおこなった。
◆阪神淡路大震災から15年
1995
年
1
月
17
日に発生した阪神淡路大震災から
15
年を迎えました。震災で亡くなられた方は
6,400
人を超え、避難所・仮設住宅における「孤独死」を含めると大震災による被害は計り知れません。
震災から
13
年が経過した
2008
年
2
月、阪神淡路大震災の復興作業に携わり、倒壊建物の解体作業に従事した労働者が、悪性胸膜中皮腫を発症し労災認定を受けたことが明らかとなりました。震災当時から、私たちが危惧していた震災によるアスベスト飛散、そして健康被害が現実化したのでした。
地震大国・日本では、大都市部を襲い甚大な被害をもたらす新たな地震の発生が警戒されています。その時に発生する環境問題、とりわけアスベスト対策について、阪神淡路大震災の教訓に学び、問題意識を共通化することが求められたのでした。そこで、震災当時のデーターを集め、専門家の意見を聞くなかで、私たちは
2009
年
1
月にパンフレット「震災とアスベスト
―
阪神・淡路大震災の教訓から」を発行したのでした。
また、
2008
年
11
月、神戸大学で開催された研究会「ノンアスベスト社会のために」においては、震災時に飛散するアスベストを吸引しないために、石綿防じんマスクの備蓄を呼びかける「マスクプロジェクト」が、アスベストセンターから提案されたのでした。
◆地震・石綿・マスク支援プロジェクトが始動
こうした動きの中で、震災被災地でのマスク配布の活動経験を持つアスベストセンターの永倉冬史さんや東京労働安全衛生センターの飯田勝泰さんと相談し、震災
15
周年の神戸の地から、震災とアスベスト問題を発信するため、シンポジウムの開催とマスク支援プロジェクトの展開にむけての相談を始めました。
2009
年の夏でした。
その後、各方面に呼びかけ、
11
月
1
日に第
1
回実行委員会を、
12
月
13
日に第
2
回実行委員会を開催し、取り組みが徐々に具体化されていきました。マスク支援プロジェクトは、石綿防じんマスクの備蓄活動と合わせ、アスベストの危険性についての日常的な教育宣伝活動にも重点を置いています。そこで、「震災とアスベスト」をテーマに、子たちと一緒に学ぶ機会が持てないものかと兵庫県内の学校に打診したところ、西宮市のクラーク記念高校で授業を受け入れていただくことになりました。
1
月
13
日、特別授業として、アスベストセンターの永倉さんを講師に
1
時間の授業が行われたのでした。
授業を受けた子ども達のレポートには、「アスベスト問題は、もう終わった気になっていたけど、これからも続いていく問題なんだと実感しました。」「アスベストには色んな問題や被害があるのだなあと感じました。」等々の感想と、「とても大切な話を聞けて良かったです。こんなゼミなら、いつでも受けたいです。」「
16
歳だからという事で逃げるのではなく、自分にできる最大限の事をしたい。」とのメッセージが寄せられており、特別授業の成功を感じる取ることができました
◆震災直後の経験から
シンポジウムの会場ロビーには、震災時に倒壊した建物から飛散するアスベストの生々しい写真や、アスベスト被災者を写した「明日を下さい」のパネル(今井明氏作成)が設営され、参加者の関心を高めました。
シンポジウムは、冒頭に震災から神戸の街の復興を願い歌い継がれている「しあわせ運べるように」の合唱、震災犠牲者を追悼する黙祷から始まりました。
第1部は、国連ハビタット親善大使のマリ・クリスティーヌさんと国立環境研究所の寺園淳さんによる
2
本の基調講演です。マリさんは、阪神淡路大震災の発生直後に被災地に入り、小学校の生徒に防じんマスクを配布し、アスベストの危険性を訴え、マスクの着用を訴える活動を取り組まれました。また、寺園さんは、被災地の建築物のアスベスト使用実態の調査と、震災による飛散状況の推計・分析を行い、論文として発表されました。
マリさんは、経験を基に、自分で自分を守る手段を身に付けるためにも、有害物質を知ることと知らせることの必要性、そして有害物質のない都市づくりの必要性を訴えました。そして、学び(
learn
)、伝え(
speak
)、行動(
action
)することを呼びかけました。
寺園さんは、当時の被災地には、
3700
t程度の吹き付けアスベストが蓄積されていたと推定。環境庁(当時)の調査では解体工事現場周辺から最大
19.9
f
/L
のアスベストを検出したが、民間団体の調査では敷地境界濃度の
16
~
25
倍の高値であったとの報告。それでも、飛散したアスベストが一般住民にもたらす健康リスクはおそらく小さく、被災地にいたというだけでは心配は不要。解体現場からの粉じんを多く吸ったと思われる人の健康診断等の対策が必要であると訴えました。
◆震災によるアスベスト飛散と被害は防げる
第
2
部は、阪神大震災におけるアスベスト飛散の実情と今後の課題をテーマにパネルディスカッションが行われました。パネラーとして、中地重晴さん(環境監視研究所)、小坂浩さん(元兵庫県立公害研究所)、名取雄司さん(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)が登壇し、それぞれの専門的立場から提言を受けました。
中地さんは、震災当時「被災地のアスベスト対策を考えるネットワーク」を住民やボランティアの皆さんと結成し、活動されていました。その経験をもとに、①吹き付けアスベストの存在を調査し、記録を保存する、②平時から吹き付けアスベストを除去するよう心がける、③吹き付けアスベスト対策で封じ込めや囲い込みは地震で倒壊すれば、除去工事が必要なので行わない、④地震で倒壊すれば、解体作業時に飛散するので、アスベスト含有建材も使用しない、⑤防災計画にアスベスト対策を入れる、⑥被災住民の登録と健康管理手帳の発行、を教訓として提言されました。
小坂さんは、アスベスト濃度測定の経験から、環境省の公定法により分析ではアスベスト繊維を見落したり過剰に判定する危険性があることを指摘。今後の大震災に備えて、事前に吹き付けアスベストがある建物を調査し、それらの位置をデーター化する全国的なアスベスト・マップの作成が急務であると提言。合わせて、倒壊ビルの解体時にマップを活用して飛散防止対策を徹底すべきと述べました。
名取さんは、国や自治体による民間建物のアスベスト情報の調査は極めて不十分であることを指摘。日常から建物の石綿の調査・分析・管理・除去を促進させるためには、新たな法律の制定が求められていること。震災緊急時に備えて事前計画の策定とマスクの備蓄、優先順位を付けた緊急除去や応急飛散防止策、廃棄石綿の保管場所を確保することの必要性を訴えました。
◆地震・石綿・マスク支援プロジェクト
その後、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史さんから、震災時のマスク支援プロジェクトについて提案が行われました。
マスクだけではアスベスト被害を防ぐことはできません。しかし、目に見えないアスベストの有害性をどう可視化するのか。地震とアスベストのイメージ連環をマスクによって表現し、アスベストの危険性を伝え広め、アスベストから身を守るためのツール(道具)としてマスクを活用することを提案しました。
マスク支援プロジェクトは、単なるマスクの備蓄活動ではありません。①普段から建物のアスベストマップを作るよう国や自治体に働きかける、②被災地に防じんマスクを配布する体制を作りマスクを備蓄する、③緊急支援としてマスクの無料配布活動を通じて、アスベストから市民・子どもたちを守るために活動します。そのための基金づくりのために、寄付を募ることも提案されました。
最後に、「アスベスト被害のない社会を!
2010.1.16
震災から
15
年神戸宣言」(別掲)を神戸大学の学生二人が提案しました。閉会挨拶では、石綿対策全国連絡会議の古谷杉郎さんが、「今年を石綿救済法の抜本的見直しの年にしよう。
3
月に東京で大集会を開催する。
5
月には泉南アスベスト国賠訴訟で勝利判決を勝ち取り、
6
月にはクボタショック
5
年の尼崎集会を成功させよう。石綿救済法の抜本的な改正を実現しよう」と訴えました。
◆地震・石綿・まずマスク
1
月
17
日、早朝から、三宮駅を南へと向かう人の波が途切れません。神戸東遊園地での震災犠牲者を追悼する行事、そして碑慰霊と復興のモニュメントへと向かう人々です。三宮駅前のフラワーロードに面する神戸マルイ前にテントを設営。震災時のパネル写真を取り付け、テント内にはマスクのフィッティングテスターの機械を
2
台設置し、マスク支援プロジェクトの宣伝を行いながら、アスベスト用防じんマスクの配布と装着の実演講習を行いました。
マリ・クリスティーヌさんもマイクを持ち、アスベストから身を守るためにマスクの備蓄を訴えてくれました。子どもを持つお母さんや小中学生、お年寄りがマスクを手に持ち、実際にうまくつけられているかフィッティングテスターを使った「もれ率」の検査チェックをしてもらいました。
アスベスト用防じんマスクに対する関心は高く、用意した
300
個のマスクはすべてなくなり、フィッティングテスターを試す人びとも途切れませんでした。
◆減災社会とアスベスト
阪神淡路大震災が起こったとき、被災地に、アスベストの危険性を訴える手作りのチラシとマスクを配布してくれた人たちがいました。その人たちがまいた種は、15年の年月を経て、地震・石綿・マスク支援プロジェクトという運動へと成長することとなりました。
また、阪神淡路大震災をきっかけに「減災」という考え方が広がりました。大災害において、被害をゼロにすることはできないが、できるだけ被害を少なくすることはできるという考えです。大震災とアスベスト飛散問題は、まさしく「減災」が可能な課題であることが、シンポジウムを通じて共通認識となったと考えます。
そして、大切なことは、アスベストのない社会に向けて行動を起こすことです。震災におけるアスベスト被害の減災にむけ、さらに想像力を膨らませることが大切であると考えています。アスベスト問題は終わっていません。ノンアスベスト社会の実現に向け、そして「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の展開に向け、今後も取り組みを強めていきたいと思っています。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
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翌17日は、三宮・フラワーロードにおいて、「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の宣伝を行いながら、アスベスト用防じんマスクの配布と装着の実演講習をおこなった。
◆阪神淡路大震災から15年
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災から15年を迎えました。震災で亡くなられた方は6,400人を超え、避難所・仮設住宅における「孤独死」を含めると大震災による被害は計り知れません。
震災から13年が経過した2008年2月、阪神淡路大震災の復興作業に携わり、倒壊建物の解体作業に従事した労働者が、悪性胸膜中皮腫を発症し労災認定を受けたことが明らかとなりました。震災当時から、私たちが危惧していた震災によるアスベスト飛散、そして健康被害が現実化したのでした。
地震大国・日本では、大都市部を襲い甚大な被害をもたらす新たな地震の発生が警戒されています。その時に発生する環境問題、とりわけアスベスト対策について、阪神淡路大震災の教訓に学び、問題意識を共通化することが求められたのでした。そこで、震災当時のデーターを集め、専門家の意見を聞くなかで、私たちは2009年1月にパンフレット「震災とアスベスト―阪神・淡路大震災の教訓から」を発行したのでした。
また、2008年11月、神戸大学で開催された研究会「ノンアスベスト社会のために」においては、震災時に飛散するアスベストを吸引しないために、石綿防じんマスクの備蓄を呼びかける「マスクプロジェクト」が、アスベストセンターから提案されたのでした。
◆地震・石綿・マスク支援プロジェクトが始動
こうした動きの中で、震災被災地でのマスク配布の活動経験を持つアスベストセンターの永倉冬史さんや東京労働安全衛生センターの飯田勝泰さんと相談し、震災15周年の神戸の地から、震災とアスベスト問題を発信するため、シンポジウムの開催とマスク支援プロジェクトの展開にむけての相談を始めました。2009年の夏でした。
その後、各方面に呼びかけ、11月1日に第1回実行委員会を、12月13日に第2回実行委員会を開催し、取り組みが徐々に具体化されていきました。マスク支援プロジェクトは、石綿防じんマスクの備蓄活動と合わせ、アスベストの危険性についての日常的な教育宣伝活動にも重点を置いています。そこで、「震災とアスベスト」をテーマに、子たちと一緒に学ぶ機会が持てないものかと兵庫県内の学校に打診したところ、西宮市のクラーク記念高校で授業を受け入れていただくことになりました。1月13日、特別授業として、アスベストセンターの永倉さんを講師に1時間の授業が行われたのでした。
授業を受けた子ども達のレポートには、「アスベスト問題は、もう終わった気になっていたけど、これからも続いていく問題なんだと実感しました。」「アスベストには色んな問題や被害があるのだなあと感じました。」等々の感想と、「とても大切な話を聞けて良かったです。こんなゼミなら、いつでも受けたいです。」「16歳だからという事で逃げるのではなく、自分にできる最大限の事をしたい。」とのメッセージが寄せられており、特別授業の成功を感じる取ることができました
◆震災直後の経験から
シンポジウムの会場ロビーには、震災時に倒壊した建物から飛散するアスベストの生々しい写真や、アスベスト被災者を写した「明日を下さい」のパネル(今井明氏作成)が設営され、参加者の関心を高めました。
シンポジウムは、冒頭に震災から神戸の街の復興を願い歌い継がれている「しあわせ運べるように」の合唱、震災犠牲者を追悼する黙祷から始まりました。
第1部は、国連ハビタット親善大使のマリ・クリスティーヌさんと国立環境研究所の寺園淳さんによる2本の基調講演です。マリさんは、阪神淡路大震災の発生直後に被災地に入り、小学校の生徒に防じんマスクを配布し、アスベストの危険性を訴え、マスクの着用を訴える活動を取り組まれました。また、寺園さんは、被災地の建築物のアスベスト使用実態の調査と、震災による飛散状況の推計・分析を行い、論文として発表されました。
マリさんは、経験を基に、自分で自分を守る手段を身に付けるためにも、有害物質を知ることと知らせることの必要性、そして有害物質のない都市づくりの必要性を訴えました。そして、学び(learn)、伝え(speak)、行動(action)することを呼びかけました。
寺園さんは、当時の被災地には、3700t程度の吹き付けアスベストが蓄積されていたと推定。環境庁(当時)の調査では解体工事現場周辺から最大19.9f/Lのアスベストを検出したが、民間団体の調査では敷地境界濃度の16~25倍の高値であったとの報告。それでも、飛散したアスベストが一般住民にもたらす健康リスクはおそらく小さく、被災地にいたというだけでは心配は不要。解体現場からの粉じんを多く吸ったと思われる人の健康診断等の対策が必要であると訴えました。
◆震災によるアスベスト飛散と被害は防げる
第2部は、阪神大震災におけるアスベスト飛散の実情と今後の課題をテーマにパネルディスカッションが行われました。パネラーとして、中地重晴さん(環境監視研究所)、小坂浩さん(元兵庫県立公害研究所)、名取雄司さん(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)が登壇し、それぞれの専門的立場から提言を受けました。
中地さんは、震災当時「被災地のアスベスト対策を考えるネットワーク」を住民やボランティアの皆さんと結成し、活動されていました。その経験をもとに、①吹き付けアスベストの存在を調査し、記録を保存する、②平時から吹き付けアスベストを除去するよう心がける、③吹き付けアスベスト対策で封じ込めや囲い込みは地震で倒壊すれば、除去工事が必要なので行わない、④地震で倒壊すれば、解体作業時に飛散するので、アスベスト含有建材も使用しない、⑤防災計画にアスベスト対策を入れる、⑥被災住民の登録と健康管理手帳の発行、を教訓として提言されました。
小坂さんは、アスベスト濃度測定の経験から、環境省の公定法により分析ではアスベスト繊維を見落したり過剰に判定する危険性があることを指摘。今後の大震災に備えて、事前に吹き付けアスベストがある建物を調査し、それらの位置をデーター化する全国的なアスベスト・マップの作成が急務であると提言。合わせて、倒壊ビルの解体時にマップを活用して飛散防止対策を徹底すべきと述べました。
名取さんは、国や自治体による民間建物のアスベスト情報の調査は極めて不十分であることを指摘。日常から建物の石綿の調査・分析・管理・除去を促進させるためには、新たな法律の制定が求められていること。震災緊急時に備えて事前計画の策定とマスクの備蓄、優先順位を付けた緊急除去や応急飛散防止策、廃棄石綿の保管場所を確保することの必要性を訴えました。
◆地震・石綿・マスク支援プロジェクト
その後、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史さんから、震災時のマスク支援プロジェクトについて提案が行われました。
マスクだけではアスベスト被害を防ぐことはできません。しかし、目に見えないアスベストの有害性をどう可視化するのか。地震とアスベストのイメージ連環をマスクによって表現し、アスベストの危険性を伝え広め、アスベストから身を守るためのツール(道具)としてマスクを活用することを提案しました。
マスク支援プロジェクトは、単なるマスクの備蓄活動ではありません。①普段から建物のアスベストマップを作るよう国や自治体に働きかける、②被災地に防じんマスクを配布する体制を作りマスクを備蓄する、③緊急支援としてマスクの無料配布活動を通じて、アスベストから市民・子どもたちを守るために活動します。そのための基金づくりのために、寄付を募ることも提案されました。
最後に、「アスベスト被害のない社会を!2010.1.16震災から15年神戸宣言」(別掲)を神戸大学の学生二人が提案しました。閉会挨拶では、石綿対策全国連絡会議の古谷杉郎さんが、「今年を石綿救済法の抜本的見直しの年にしよう。3月に東京で大集会を開催する。5月には泉南アスベスト国賠訴訟で勝利判決を勝ち取り、6月にはクボタショック5年の尼崎集会を成功させよう。石綿救済法の抜本的な改正を実現しよう」と訴えました。
◆地震・石綿・まずマスク
1月17日、早朝から、三宮駅を南へと向かう人の波が途切れません。神戸東遊園地での震災犠牲者を追悼する行事、そして碑慰霊と復興のモニュメントへと向かう人々です。三宮駅前のフラワーロードに面する神戸マルイ前にテントを設営。震災時のパネル写真を取り付け、テント内にはマスクのフィッティングテスターの機械を2台設置し、マスク支援プロジェクトの宣伝を行いながら、アスベスト用防じんマスクの配布と装着の実演講習を行いました。
マリ・クリスティーヌさんもマイクを持ち、アスベストから身を守るためにマスクの備蓄を訴えてくれました。子どもを持つお母さんや小中学生、お年寄りがマスクを手に持ち、実際にうまくつけられているかフィッティングテスターを使った「もれ率」の検査チェックをしてもらいました。
アスベスト用防じんマスクに対する関心は高く、用意した300個のマスクはすべてなくなり、フィッティングテスターを試す人びとも途切れませんでした。
◆減災社会とアスベスト
阪神淡路大震災が起こったとき、被災地に、アスベストの危険性を訴える手作りのチラシとマスクを配布してくれた人たちがいました。その人たちがまいた種は、15年の年月を経て、地震・石綿・マスク支援プロジェクトという運動へと成長することとなりました。
また、阪神淡路大震災をきっかけに「減災」という考え方が広がりました。大災害において、被害をゼロにすることはできないが、できるだけ被害を少なくすることはできるという考えです。大震災とアスベスト飛散問題は、まさしく「減災」が可能な課題であることが、シンポジウムを通じて共通認識となったと考えます。
そして、大切なことは、アスベストのない社会に向けて行動を起こすことです。震災におけるアスベスト被害の減災にむけ、さらに想像力を膨らませることが大切であると考えています。アスベスト問題は終わっていません。ノンアスベスト社会の実現に向け、そして「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の展開に向け、今後も取り組みを強めていきたいと思っています。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。