NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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地震・石綿・マスク支援プロジェクト

パンフ「震災とアスベスト~阪神・淡路大震災の教訓から~」を発行

2009/01/17
阪神・淡路大震災後、私たちが心配していた出来事が、20083月に起こった。地震による倒壊建造物の解体・撤去作業に従事した男性が、胸膜中皮腫を発症し、労災に認定されたことが明らかになった。クボタ・ショック以来、いわゆる環境アスベスト問題が広く問題になった経過もあり、この出来事はマスコミの報道もあって大きな関心を呼んだ。

地震大国・日本では、大都市部を襲い甚大な被害をもたらす新たな地震発生が警戒されている。私たちは、その時発生する環境問題、とりわけアスベスト対策は十分かと、この経過の中で考えさせられた。「その時では遅い」、災害が起こる前にアスベストを使用した建造物の把握、そして除去が求められていることを痛感している。特に、震災になると被災住民、被災地に通う通勤、通学者だけでなく、近隣府県は勿論、全国から復旧・復興のための従事者、ボランティアが集中するのであり、その「日常」と「善意」が10年後、20年後の二次被害にあう事態はなんとしてでも避けなければならない。

アスベストはキラーファイバー(人殺し繊維)と呼ばれ、発症すると治療法も確立しておらず、また「早すぎる死」に直面する悲惨で残酷な病気である。そして潜伏期間も長く「静かな時限爆弾」と呼ばれている。また、アスベストには「どれだけ吸い込んだら危険か、これぐらいならば大丈夫」という閾(しきい)値はない、これがWHOの公式見解である。アスベスト飛散を防止し、吸い込まないことである。

今日、一部を除きアスベスト使用は全面禁止されている。しかし、耐火、耐熱のために、多くの建造物に、大量のアスベスト材が使われてきた。そして、まだ多くの吹き付けアスベストが残されている。「管理して、使用する」(石綿協会の姿勢)と言いながら、管理を怠り、十分な規制をしなかった行政の責任は重い。私たちは阪神・淡路大震災の教訓を生かそうと、震災時のアスベスト対策の経過の問題点を探った。その結果、英知を結集し、実行さえすれば、アスベスト飛散とその被害は防げると確信するに至った。そのためには市民自身が関心を深め、市民が行政に働きかけ、監視するだけでなく、「マスクプロジェクト」運動のように、自ら運動する必要がある。繰り返すようだが、「その時では遅い」。何よりもアスベスト被害の怖さを知り、災害が起こる前に、ノン・アスベストの社会を作り出す必要性を提言している。発行にあわせて11718日に行った震災アスベストホットラインでは、2日間で11件の相談があった。そのほとんどは、震災時に解体作業な
どに従事していたことでの健康不安であり、震災後の被害対策が不十分ななかでの問い合わせがほとんどであった。阪神・淡路大震災の事後対策をしっかりと行うことにより、今後の震災時のアスベスト対策の課題も明らかになるはずである。