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中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会

クボタショック2周年 尼崎集会

2007/07/20
クボタショックから2年を迎え、630日と71日にかけ、「写真と報告でつづるアスベスト被害尼崎集会」が尼崎市立労働福祉会館で行われ、300人が結集し、2年間を振り返り、取り組みの成果と今後の課題を確認した。

冒頭、古川和子さん(中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の副代表)が、「国も企業も勇気を持って責任を認め、謝罪して欲しい」と訴えた。工場近くに住み、中皮腫にかかり療養中の土井雅子さんは、「この2年で前田さんをはじめ知り合いがたくさん亡くなったが、その分まで一日でも長く元気で頑張りたい」と、抗がん剤で一度は抜け落ちた髪の毛が元に戻った姿をにこやかに披露した。

クボタ旧神崎工場周辺住民や各地の石綿被害者をカメラで撮り続けてきた今井明さんの写真展「明日をくださいーアスベスト公害と患者・家族の記録」が、同時に開催された。作品は、石綿被害を受けた住民や造船、旧国鉄、建設労働者の皆さんの日常生活の中で微笑んだ姿が描き出された。今井さんは、「石綿被害を受けるのは特別な人たちではなく、身近な問題であることを伝えたかった」「被害は拡がっている。未来のため石綿被害の実情を伝えたい」と訴えた。

全国各地で石綿被害の闘いを進めている方々からの報告は、裁判闘争をしている泉南、ニチアスの企業責任を追及している奈良、エーアンドエーマテリアルを追求している神奈川から、それぞれ怒りを込めた報告がされた。

ひょうご労働安全センターからは、西山事務局長がこの2年間のアスベスト被害の相談、その中から生まれた「患者と家族の会ひょうご支部」「造船・鉄鋼アスベスト被害者の会」、ホットラインの取り組み、兵庫県下の石綿被害状況、そして造船所・港湾荷役・旧国鉄・ゴム製造・製パンでの被害報告がされた。

石綿全国連絡会議の古谷事務局長からは、ヨーロッパにおける石綿被害の現状とその救済について報告がされ、日本の救済の遅れが指摘された。

石綿被害の疫学調査をしている県立奈良医大の車谷教授は、「クボタの近隣住民の中皮腫の疫学調査において、住民の皆さんに込み入った家族関係など失礼な聞き取りをせざるを得ず申し訳なかった」と述べられ、「クボタは中皮腫だけの結果で対応をしている。肺がんについても対応が迫られる」と今後の課題が提起された。さらに、会場参加者の質問には、「従業員の疫学調査の必要性。社内での石綿被害の現状を全て社会的に明らかにすべき」と答えた。

イタリア・エタニットパイプ被害の報告を大阪府立公衆衛生研究所の熊谷信二氏が行い、「石綿管や石綿建材にクボタと同じようにアスベストを使用し、過去28年間で肺がん・石綿肺・中皮腫などで356人が死亡している」と発表した。また、日本の厚生労働省もクボタの労災申請を通してもっと早くから石綿関連疾患が多発していることを知っていたはず、と指摘した。

尼崎労働者安全センターからは、JR尼崎駅前に患者と家族の会の共同事務所を新しく開設したことが報告され、アスベスト問題を発信する運動の拠点として活用していく決意が表明された。

最後に、すべての被害者、支援団体の連帯を進め、アスベスト問題における政府と企業の責任を様々な手段で追及し、格差と隙間のない補償と救済、そしてアスベストのない社会を実現するために全力をつくしていくことの「2007アスベスト被害根絶尼崎宣言」を全参加者で確認し、散会した。
 

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