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公務災害
震災時のガレキ収集業務で腹膜中皮腫を発症
神戸地裁 公務災害と認定
2021/04/05
◇震災でのガレキ収集業務で中皮腫発症 公務災害と認定
明石市職員の島谷さんが腹膜中皮腫を発症し死亡した原因は、阪神・淡路大震災でガレキの収集業務においてアスベストを吸い込んだことによるとして、遺族が地方公務員災害補償基金を相手に、公務災害と認めなかった処分の取り消しを求めた裁判の判決が、
3
月
26
日に神戸地方裁判所で言い渡された。
泉薫裁判長は、「震災の影響を正しく評価せず、裁量権の逸脱又は濫用がある」と判断し、公務災害と認めた。
◇判決理由について
平成
7
年
1
月~平成
8
年
3
月末までの故島谷さんの業務は、
①
認定基準記載の石綿被ばく露作業と同視できるまでとはいえないが、日常的に石綿粉じんにばく露し得る環境下での業務であって、
②
粉じんの飛散量等の客観的データがないことは、本件震災後の社会状況からやむを得ないことであり、
③
ばく露期間と作業開始から発症までに期間は、いずれも認定基準を満たしており、
④
他の有力な発症原因も認められないことからすれば、腹膜中皮腫の発症と相当因果関係が認められる。
本件処分の判断には、本件の個別的事情について、本件震災の影響を正しく評価せず、未だ確立していない腹膜中皮腫の医学的知見の評価を誤った点で、裁量権の逸脱又は乱用がある。
したがって、争点についての原告の主張は理由があり、故島谷さんの腹膜中皮腫の発症が公務に起因するものではないとした本件処分には、その評価を誤った違法があるというべきであり、取り消しを免れない。
◇中皮腫発症との因果関係がある
裁判では、
①
震災時のごみ収集作業で石綿粉じんを吸ったのかどうか、
②
腹膜中皮腫発症の原因がその当時の石綿吸引かどうかが争点であった。判決では、「労災の判断基準を機械的に適用するのではなく、被災者の業務や職場環境等、個別的事情を考慮すべき」であるとし、島谷さんは「震災時の業務よる石綿ばく露であり、腹膜中皮腫発症との因果関係がある」ことを認めた。
島谷さんは、
2012
年
6
月に悪性腹膜中皮腫を発症。公務災害申請を行ったが、地方公務員災害補償基兵庫支部は
2014
年
3
月に公務外と判断していた。
◇広い救済の足がかりになる
本裁判の弁護団は、「労災の基準を満たさないと門前払いされたケースも公務災害、労災になることを示してくれた。中皮腫と診断された人たちに対する広い救済の足がかりになる判決だ」と意義を語った。
原告である島谷さんの妻は、「
8
年は長くつらい日々であったが、まだ生きたいという主人の願いを胸に今日まで頑張ってきた。みなさんのおかげで今日を迎えることができてよかった。判決は震災復興に関わった人の支えになるのでは」と思いを語った。
島谷さんが、腹膜中皮腫を発症してから、もうすぐ9年になる。被災者の救済に、なぜこれほどの時間を要さなければならないのだろうか。
◇基金は職員を救済する機関だ
神戸地裁の判決を受け、
3
月
30
日に公務災害補償基金兵庫県支部、
4
月
2
日に基金本部に対して、控訴することなく、速やかに被災者遺族への補償を行うよう求める要請を行った。
これまでも、地方公務員災害補償基金が「職員の救済機関としての使命を果たしていない」ことを指摘してきた。今回の判決においても、「被災職員を不利益に扱うべきではない」と述べおり、改めて基金に対して、職員を救済する機関であることを認識し対応することを求めていきたい。
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明石市職員の島谷さんが腹膜中皮腫を発症し死亡した原因は、阪神・淡路大震災でガレキの収集業務においてアスベストを吸い込んだことによるとして、遺族が地方公務員災害補償基金を相手に、公務災害と認めなかった処分の取り消しを求めた裁判の判決が、3月26日に神戸地方裁判所で言い渡された。
泉薫裁判長は、「震災の影響を正しく評価せず、裁量権の逸脱又は濫用がある」と判断し、公務災害と認めた。
◇判決理由について
平成7年1月~平成8年3月末までの故島谷さんの業務は、①認定基準記載の石綿被ばく露作業と同視できるまでとはいえないが、日常的に石綿粉じんにばく露し得る環境下での業務であって、②粉じんの飛散量等の客観的データがないことは、本件震災後の社会状況からやむを得ないことであり、③ばく露期間と作業開始から発症までに期間は、いずれも認定基準を満たしており、④他の有力な発症原因も認められないことからすれば、腹膜中皮腫の発症と相当因果関係が認められる。
本件処分の判断には、本件の個別的事情について、本件震災の影響を正しく評価せず、未だ確立していない腹膜中皮腫の医学的知見の評価を誤った点で、裁量権の逸脱又は乱用がある。
したがって、争点についての原告の主張は理由があり、故島谷さんの腹膜中皮腫の発症が公務に起因するものではないとした本件処分には、その評価を誤った違法があるというべきであり、取り消しを免れない。
◇中皮腫発症との因果関係がある
裁判では、①震災時のごみ収集作業で石綿粉じんを吸ったのかどうか、②腹膜中皮腫発症の原因がその当時の石綿吸引かどうかが争点であった。判決では、「労災の判断基準を機械的に適用するのではなく、被災者の業務や職場環境等、個別的事情を考慮すべき」であるとし、島谷さんは「震災時の業務よる石綿ばく露であり、腹膜中皮腫発症との因果関係がある」ことを認めた。
島谷さんは、2012年6月に悪性腹膜中皮腫を発症。公務災害申請を行ったが、地方公務員災害補償基兵庫支部は2014年3月に公務外と判断していた。
◇広い救済の足がかりになる
本裁判の弁護団は、「労災の基準を満たさないと門前払いされたケースも公務災害、労災になることを示してくれた。中皮腫と診断された人たちに対する広い救済の足がかりになる判決だ」と意義を語った。
原告である島谷さんの妻は、「8年は長くつらい日々であったが、まだ生きたいという主人の願いを胸に今日まで頑張ってきた。みなさんのおかげで今日を迎えることができてよかった。判決は震災復興に関わった人の支えになるのでは」と思いを語った。
島谷さんが、腹膜中皮腫を発症してから、もうすぐ9年になる。被災者の救済に、なぜこれほどの時間を要さなければならないのだろうか。
◇基金は職員を救済する機関だ
神戸地裁の判決を受け、3月30日に公務災害補償基金兵庫県支部、4月2日に基金本部に対して、控訴することなく、速やかに被災者遺族への補償を行うよう求める要請を行った。
これまでも、地方公務員災害補償基金が「職員の救済機関としての使命を果たしていない」ことを指摘してきた。今回の判決においても、「被災職員を不利益に扱うべきではない」と述べおり、改めて基金に対して、職員を救済する機関であることを認識し対応することを求めていきたい。