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腰痛・上肢障害・振動障害
1トンの木材を人力で運搬
胸椎椎間板ヘルニアを発症し労災認定
2021/12/20
◇材木に防腐剤を注入する作業
一人親方として大工をしていたAさん(
75
才)は、シルバー人材センターの紹介で、
70
才からB社の臨時社員として働くようになりました。B社では大型製品等を輸送する際に荷崩れしないように梱包を行なう部署があり、Aさんは大工の経験を活かし木造パレットの製造作業に従事しました。
梱包用に使用する木材には、防腐剤を注入する必要があります。防腐剤を注入する機械は、直径が
150
㎝、長さが約8mの大きさで、円柱を横向きに寝かした形状で、中は空洞になっています。この機械を、社員は釜と読んでいました。防腐剤を注入する機械は、中から約
20
mのレールが引かれており、そのレールの上に台車が5台乗っています。この台車に長さ5mの木材をフォークリフトで何本も積み上げ、動力で注入機に入れ、時間をかけて防腐剤を注入していました。
◇「人間の力でする作業ではない」
2020
年2月、防腐剤を注入する機械で、プレートと滑車が吹き飛び社員に当たり、救急車や消防車・警察が駆けつける事故が起きました。この事故の後、会社は吹き飛んだ部品を修理しなかったので、釜入れと釜出し作業をAさんら二人が人力で行なうことになったのでした。
釜入れのときは木材が乗った台車を中腰の姿勢で押して入れ、釜出しのときは台車にワイヤーを引っ掛けて引っ張り出す作業を人力で行ないました。防腐剤の注入量によっては2度目の注入を行なったり、違う木材に入れ替えることもあり、二人で何度も台車を出し入れする必要がありました。そのため、午前中の作業だけで3~4回、午後も3~4回台車を押したり引っ張ったりして移動させました。しかも、床面は薬液で濡れて滑るため余計に体に負担がかかりました。防腐剤が染みこんだ木材は重くなり、全体の重量はで1トン以上になっていました。
Aさんは、2月から5月末までこの作業に従事したのですが、背中や肩、股関節が痛くなり、「この作業は人間の力でする仕事ではない」と家族に話していました。
◇鉄骨を持ち上げた時に痛みが
そうしたなか、
2020
年
6
月
1
日、Aさんは腰を負傷しました。この日は、コロナの影響で仕事が暇になっており、朝から工場の片付け作業を行なっていました。午後4時頃に、Aさんは他の社員が工場の外でL字の鉄骨を片付けているのを見かけ、その手伝いをすることにしました。L字の鉄骨は、長いものだと4mから6mの長さがあり、約
50
キロの重量がありました。
そのL字の鉄骨を二人で持ち、約5m離れた切断機まで運び、切断した鉄骨を更に約3m離れた場所にあるパレットに運んでいました。切断した鉄骨は5キロ~
10
キロまで様々でした。切断した鉄骨を持ち上げる時、足を立てたままの状態で、頭を下げて持ち上げようとしたところ、腰にピッと痛みが走ったのでした。その後も、我慢して退勤時間の5時半までその作業を続けましたが、腰の痛みは誰にも伝えませんでした。
◇胸椎椎間板ヘルニアと診断
翌日の6月2日、Aさんは腰の痛みを感じ、病院に行ったところ、「股関節がつぶれている」と言われ、「右変形性股関節症、左股関節炎」と診断されました。その後も痛みが治まらないため、大きな病院を受診したところ、「股関節ではなく、背骨が原因だ」と言われ、胸椎椎間板ヘルニアと診断され、手術を受けることになりました。
Aさんとご家族は、台車に乗った木材を二人で移動させる作業を、一日5時間から6時間程度、約半年間にわたり行った事が原因と考え、労災請求を行なうことにしたのでした。ご家族は会社に労災の協力を求めたのですが、対応した課長は即座に「労災にはならない」と述べ、「重い物や無理な作業はさせないよう配慮していた」「労災の請求書には証明できません」との回答でした。
◇災害性腰痛として業務上の判断
Aさんの元に、本年5月末付けて、支給決定の通知が届きました。監督署は、Aさんが6月1日に行なった鉄骨の運搬作業において、「腰にピリッと痛みがはしり負傷したもの」と判断し、主治医らからの意見を聴取し、「胸椎椎間板ヘルニア」は災害の負傷との医学的相当因果関係が認められると判断したのでした。ただ、初診で「右変形性股関節症、左股関節炎」と診断された療養費については、不支給の判断でした。
Aさんが「人間の力でする仕事ではない」と訴えた台車を押す作業との因果関係については、監督署は判断を避け、突発的な出来事による災害性腰痛と判断したのでした。主治医からは「重量物を持つような労務へ復帰できる見込みはない」と言われ、Aさんは大変辛い思いをされています。会社が言う様な「無理な作業をさせないように配慮していた」なら、今回の災害は発生していなかったでしょう。
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一人親方として大工をしていたAさん(75才)は、シルバー人材センターの紹介で、70才からB社の臨時社員として働くようになりました。B社では大型製品等を輸送する際に荷崩れしないように梱包を行なう部署があり、Aさんは大工の経験を活かし木造パレットの製造作業に従事しました。
梱包用に使用する木材には、防腐剤を注入する必要があります。防腐剤を注入する機械は、直径が150㎝、長さが約8mの大きさで、円柱を横向きに寝かした形状で、中は空洞になっています。この機械を、社員は釜と読んでいました。防腐剤を注入する機械は、中から約20mのレールが引かれており、そのレールの上に台車が5台乗っています。この台車に長さ5mの木材をフォークリフトで何本も積み上げ、動力で注入機に入れ、時間をかけて防腐剤を注入していました。
◇「人間の力でする作業ではない」
2020年2月、防腐剤を注入する機械で、プレートと滑車が吹き飛び社員に当たり、救急車や消防車・警察が駆けつける事故が起きました。この事故の後、会社は吹き飛んだ部品を修理しなかったので、釜入れと釜出し作業をAさんら二人が人力で行なうことになったのでした。
釜入れのときは木材が乗った台車を中腰の姿勢で押して入れ、釜出しのときは台車にワイヤーを引っ掛けて引っ張り出す作業を人力で行ないました。防腐剤の注入量によっては2度目の注入を行なったり、違う木材に入れ替えることもあり、二人で何度も台車を出し入れする必要がありました。そのため、午前中の作業だけで3~4回、午後も3~4回台車を押したり引っ張ったりして移動させました。しかも、床面は薬液で濡れて滑るため余計に体に負担がかかりました。防腐剤が染みこんだ木材は重くなり、全体の重量はで1トン以上になっていました。
Aさんは、2月から5月末までこの作業に従事したのですが、背中や肩、股関節が痛くなり、「この作業は人間の力でする仕事ではない」と家族に話していました。
◇鉄骨を持ち上げた時に痛みが
そうしたなか、2020年6月1日、Aさんは腰を負傷しました。この日は、コロナの影響で仕事が暇になっており、朝から工場の片付け作業を行なっていました。午後4時頃に、Aさんは他の社員が工場の外でL字の鉄骨を片付けているのを見かけ、その手伝いをすることにしました。L字の鉄骨は、長いものだと4mから6mの長さがあり、約50キロの重量がありました。
そのL字の鉄骨を二人で持ち、約5m離れた切断機まで運び、切断した鉄骨を更に約3m離れた場所にあるパレットに運んでいました。切断した鉄骨は5キロ~10キロまで様々でした。切断した鉄骨を持ち上げる時、足を立てたままの状態で、頭を下げて持ち上げようとしたところ、腰にピッと痛みが走ったのでした。その後も、我慢して退勤時間の5時半までその作業を続けましたが、腰の痛みは誰にも伝えませんでした。
◇胸椎椎間板ヘルニアと診断
翌日の6月2日、Aさんは腰の痛みを感じ、病院に行ったところ、「股関節がつぶれている」と言われ、「右変形性股関節症、左股関節炎」と診断されました。その後も痛みが治まらないため、大きな病院を受診したところ、「股関節ではなく、背骨が原因だ」と言われ、胸椎椎間板ヘルニアと診断され、手術を受けることになりました。
Aさんとご家族は、台車に乗った木材を二人で移動させる作業を、一日5時間から6時間程度、約半年間にわたり行った事が原因と考え、労災請求を行なうことにしたのでした。ご家族は会社に労災の協力を求めたのですが、対応した課長は即座に「労災にはならない」と述べ、「重い物や無理な作業はさせないよう配慮していた」「労災の請求書には証明できません」との回答でした。
◇災害性腰痛として業務上の判断
Aさんの元に、本年5月末付けて、支給決定の通知が届きました。監督署は、Aさんが6月1日に行なった鉄骨の運搬作業において、「腰にピリッと痛みがはしり負傷したもの」と判断し、主治医らからの意見を聴取し、「胸椎椎間板ヘルニア」は災害の負傷との医学的相当因果関係が認められると判断したのでした。ただ、初診で「右変形性股関節症、左股関節炎」と診断された療養費については、不支給の判断でした。
Aさんが「人間の力でする仕事ではない」と訴えた台車を押す作業との因果関係については、監督署は判断を避け、突発的な出来事による災害性腰痛と判断したのでした。主治医からは「重量物を持つような労務へ復帰できる見込みはない」と言われ、Aさんは大変辛い思いをされています。会社が言う様な「無理な作業をさせないように配慮していた」なら、今回の災害は発生していなかったでしょう。