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「アスベスト被害救済を打ち切るな!!」
全国一斉緊急ホットラインを実施

2022/04/22
◆時効救済制度の現状

石綿健康被害救済制度の一つである特別遺族給付金は、石綿による健康被害が原因で亡くなった労働者の遺族に対する救済措置として設けられた制度で、労災保険の時効(死亡日の翌日から5年)により、遺族補償給付の支給を受ける権利がなくなった方を対象としています。現行の制度では、2016年3月26日までに亡くなった労働者の遺族が対象となっており、請求期限は2022年3月27日までとなっています。

また、石綿救済制度の特別遺族弔慰金、特別葬祭料は、石綿によるいわゆる環境被害が原因で亡くなった方の遺族を対象とした制度です。そのうち、法施行(2006年3月27日)前に中皮腫および肺がんで亡くなった方の遺族については、2022年3月27日が請求期限となっています。

厚生労働省は2012年に、1995年から2005年に中皮腫で亡くなった方の遺族のうち、労災補償などの救済給付などの未請求者3,613に対して個別の周知案内を実施しました。その結果、時効救済の認定実績は前年度(11件)の14倍(144件)となりましたが、その後、この個別周知は実施されておらず、時効救済の認定件数も低調に留まっています。

更に2016年12月に中央環境審議会環境保険部会石綿健康被害救済小委員会が取りまとめた、「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」では、同制度の5年以内の見直しが必要であるとされていますが、5年を経過した現在でも、石綿健康被害救済小委員会自体が開催されていません。そのため、石綿健康被害救済制度の見直しが行われず、法改正には至っていません。


◆全国一斉緊急ホットラインを実施

全国労働安全衛生センター連絡会議によると、未救済の労災時効救済対象件数は、アスベスト関連疾患のうち中皮腫5,099件、肺がん15,800件の合計20,899件と推計され、この方々は請求期限の3月27日を超えると本来受けるべき補償・救済を受けられなくなってしまいます。

そこで、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」は、2022年3月18日~20日の3日間、全国5か所(東京・名古屋・大阪・愛媛・福岡)に受付ポイントを設け、制度打ち切り緊急ホットラインをおこないました。ひょうごセンターのメンバーは大阪と福岡を担当しました。

相談件数は、3日間で700件を超え、3月21日以降も相談が続いています。受け付けた相談には、3月27日までに申請を行わなければならず、すぐに対応する必要がある方が多くおられました。また、相談の中には2016年3月27日以降に亡くなられ、労災保険も労災時効救済も請求できない方もおられ、このままでは何の補償も受けられなくなってしまうケースもありました。

今回のホットラインに寄せられた相談件数の多さや相談内容は、時効救済制度の意義を再確認させるだけでなく、いまだ救済されず埋もれたままになっている被災者がいかに多いかということを実感させられました。



◆具体的な相談から

・父が大工として働いており、20年前に肺がんで死亡した。救済の対象となるだろうか?

・塗装業をしており、アスベストを除去して塗装するなどしていた。一緒に働いていた弟が5年前に肺の病気で亡くなったが補償されるのか。また、自身も作業をしていたので心配だ。

・父が一人親方として30年間大工をしていた。1998年に中皮腫と診断され亡くなった。今まで何も申請していないが間に合うだろうか?

・父が工務店をしており、母が父と一緒に現場に出て作業の手伝いを行っていた。2008年に中皮腫で死亡した。補償は受けられるか?

・夫が高校を卒業してから65歳まで大工として従事していた。肺がんを患い2013年に亡くなった。補償は受けられるだろうか?

・夫が船員として働いていたが、肺がんを発症し2006年に亡くなった。その当時、医師からアスベストを扱う仕事についていなかったかと指摘されたが、何も申請しなかった。今からでも間に合うだろうか?

・父が個人事業主として長年建設業に従事していた。2001年に死亡したが、死亡診断書には肺がんと記載がある。救済の対象となるのだろうか?

その他にも、厚生労働省が公表している「石綿ばく露作業による労災認定等事業場」で働いていた方からの相談も多くありました。


◆隙間のない補償・救済を

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会では、時効救済制度の延長の法改正(過去にも同様に法改正されてきた)を求めています。これまでに多くの国会議員の賛同を得ているのですが、いまだ法改正には至っていません。引き続き国会議員や関係省庁への要請を行っています。

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会と連携し、一人でも多くの方の補償・救済につながるように取り組みを進めていく決意です。


 

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