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21年度の労災補償状況 石綿、脳・心臓疾患、精神疾患
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2022年6月22日、厚生労働省は2021(令和3)年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を発表した。請求件数は1,074件(前年度に比べ189件増)、支給決定件数は1,099件(前年度に比べ5件減)、認定率は92.0%であった。
また、石綿による疾病により死亡した労働者の遺族で、時効(5年)によって労災保険の遺族補償給付を受ける権利が消滅した人については、「石綿救済法」に基づき、「特別遺族給付金」が支給される制度が設けられている。2021(令和3)年度の特別遺族給付金の請求件数は546件(前年度40件)で、前年度に比べ13.7倍であった。石綿救済法が3月末に請求期限を迎えるため、私たちは全国一斉のホットラインを実施したが、3日間で700件を超える相談が寄せられた。この取り組みが請求件数の増加に影響していることは間違いないだろう。
◆兵庫県の支給決定状況
2021(令和3)年度における兵庫県の労災請求件数は95件で、支給決定件数は65件であった。疾病別にみると、中皮腫は請求件数55件で支給決定件数41件、肺がんは請求件数34件で支給決定件数22件、良性石綿胸水は請求件数2件で支給決定件数2件、びまん性胸膜肥厚は請求件数4件で支給決定件数0件となっている。
請求件数の多い都道府県をみると、東京164件、大阪139件、北海道100件、兵庫県95件、神奈川県89件、広島県70件の順となっている。
また、2021(令和3)年度における兵庫県の特別遺族給付金の請求件数は43件で、支給決定件数は4件となっている。特別遺族給付金の請求件数を都道府県別にみると、東京115件、大阪87件、神奈川49件、兵庫43件、広島20件の順となっている。支給決定件数は32件であり、3月末に請求した分は、本年度に決定が出ることになる。本年度の支給決定状況が気になるところである。
◆依然として低い肺がんの救済率
石綿肺がんは中皮腫の2倍といわれているが、2021(令和3)年度の石綿肺がんの労災請求件数は526件(前年度408件)、支給決定件数は348件(前年度340件)であった。
中皮腫の請求件数は656件(前年度615件)で支給決定件数は578件(前年度607件)であり、肺がんは中皮腫に比べ請求件数で130件、支給決定件数で230件も少ない状況である。これまでも繰り返し述べてきたが、石綿肺がんの労災認定基準が厳しすぎることが救済が進まない原因であると考える。
◆脳・心臓疾患の支給決定状況
6月24日、厚労省は「令和3年度過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表した。2021年度の脳・心臓疾患による請求件数は753件で、前年度より31件減っており、請求件数は減少傾向にある。過重労働が減少したことにより請求が減少したのであればいいのだが、新型コロナウイルス感染症の影響により残業時間数が減少したことも影響しているのではないだろうか。支給決定件数は172件で前年度より22件減っている。
また年齢別の請求件数をみると、40代以上の請求件数が692件に上り、全体の約92%を占めている。業種別の支給決定件数を見ると、「道路貨物運送業」56件、「総合工事業」11件、「その他の事業サービス業」9件の順となっている。
今回、時間外労働時間数が60時間~80時間の支給決定が29件で、前年度の17件より増加している。これは認定基準が改正され、労働時間以外の負荷要因を含め総合的に判断するようになった影響と考える。
気になるのは認定率である(支給決定件数を決定件数で除した数)。2021年度は決定件数525件に対して支給決定は172件で、認定率は32.8%であった。2020年度は29.2%、2019年度は31.6%であり、認定率は3割を前後し推移している。
◆精神疾患の支給決定状況
精神障害の請求件数は、19年度2,060件、20年度は2,051件、21年度は2,346件となっており、増加傾向が続いている。年代別の請求件数は、10代が22件、20代が495件、30代が556件、40代が703件、50代が471件、60才以上は99件となっており、40代が多いが全ての年齢層から請求が行なわれている。ただ、20代の請求件数495件の内、女性が306件となっており、この年代だけ女性の比率が高くなっている。
決定件数は19年度1,586件、20年度1,906件、21年度1,953件で、支給決定件数は19年度32.1%、20年度31.9%、21年度32.2%であった。脳・心臓疾患の認定率より若干高く、32%を前後し推移している。
支給決定件数の多い業種は、「社会保険・社会福祉・介護事業」82件、「医療業」59件、「道路貨物運送業」47件の順となっている。
支給・不支給を決定する上で「業務による心理的負荷表」が用いられているが、出来事別で見ると、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が125件と突出しており、次に「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」が71件、「悲惨な事故や災害の体験、目的をした」が66件となっている。
請求件数は年々増加しているが、約3分の2以上が不支給とされてしまうのは、「業務による心理的負荷表」の当てはめや評価に問題があるのではないかと考える。現在、認定基準の改正に向けた検討会が開催されているが、「負荷表」の項目や当てはめが適切なのかについても、検討する必要があると考える。
◆兵庫県の支給決定状況
兵庫県における脳血管疾患の請求件数は19件で、決定件数12件、支給決定件数3件であった。認定率は25%。虚血性心疾患の請求件数は7件で、決定件数7件、支給決定件数1件で、認定率は14%であった。全国的な認定率よりもかなり低率である。
兵庫県における精神障害の請求件数は118件で、東京497件、大阪230件、神奈川171件、愛知157件に次いで多い。決定件数は135件で、支給決定件数は54件、認定率は40%である。精神障害については、全国の認定率に比べてかなり高くなっている。
兵庫においては、過労死防止兵庫センターや過労死遺族の会のメンバーと連携し活動を行なっているが、過労死等の防止に向けて、引き続き取り組みを行なっていく。