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地震・石綿・マスク支援プロジェクト

アスベスト健康被害を聞き取り、語り継ぐために
連続講座第1回
震災の経験を記録するセミナーを開催

2024/06/21
◇5月26日、神戸大学文学部で連続公開講座

「震災の経験を記録する一阪神・淡路大震災とアスベスト被害を聞き取り、語り継ぐために一」を開催しました。
講座は「災害とアスベストー阪神淡路30年プロジェクト」の一環の企画で、「被害の経験に向き合うとはどういうことか」と題し、ドキュメンタリー上映と震災当時からアスベスト問題に取り組んで来た2人が講演を行い、学生を中心に約30人が参加しました。
講演は2部に分かれ、前半では震災時に現地で取材活動を行い、今もアスベスト問題を追い続ける神戸新闘記者の加藤正文さんによる「時を超えて肉声に迫る一アスベスト報道にかかわって」と題した講演がありました。

加藤さんは、「世界が禁止している中でも、日本は『対策を講じれば安全だ』と高度成長期やバブル期にアスベストを使用し続けてしまった。地震が起きるとそれが粉じんとなり、飛散して人体が吸引し、数十年から50年で肺がん等の石綿関連疾病を発症するという、まさに静かな時限爆弾だ」と訴えました。
そして、自らカナダのアスベスト鉱山や2001年のニューヨーク同時多発報復事件で崩壊した世界貿易センタービルの跡地を訪れた経験を語り、人に伝えるためには、まずその危険性を資料や本で学び、現地へ赴き、当事者である被害者、加害者の両方に会って肉声に迫ることが大切だ、と話されました。
最大のアスベスト被害をもたらしたクボタについても、 「定例の決算発表で一方的に聞くだけでなく、救済金を何人にいくら払ったのかを質問し社長に説明させることが大事であり、被害者の声なき声を伝えることが必要だ」と話されました。

講演の後半では、ひょうご安全センター事務局長の西山和宏さんが「静かな時限爆弾一アスベスト被害の実相と向き合って」と題して話しました。
西山さんは、ベビーパウダーやゴム製品などの滑りを良くするためのタルクをはじめ、建材に止まらずあらゆる日用品にもアスベストが使用されており、知らないうちに吸引して健康被害を発症する危険性があり、「中高年だけでなく20代、30代で発症する事例が増えている」と警鐘を嗚らしました。
また、「阪神大震災の解体現場では、全国平均の10倍以上のアスベストが飛散していました。被災地ではその当初から『あなたのお子さん大丈夫ですか』とボランティアがチラシを配り、危険性を知らせていました。私たちも被害を記録し、災害時のアスベスト飛散を減らすことの大切さを次世代に語り継いでいく必要があります」と訴えました。

参加した学生からは「昔の話で他人事のようだったが、身近な問題であり自分が当事者だと実感した」「記録し、語り継ぐ大切さが分かった」などの意見や感想が寄せられました。