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「介護労働者の腰痛対策」をテーマに、田島診療所所長の三橋徹医師が、介護施設の労働実態について報告。また、特別養護老人ホームで働くYさんが介護施設での問題などを紹介した。
♦業務上腰痛の概要
三橋所長はまず、業務上腰痛の概要について説明した。休業4日以上の労働者私傷病報告における業務上腰痛は、2018年は5043件、2019年は5165件、業務上疾病の約6割を占めており、安全衛生上の重要な問題となっていると話した。業務大分類別で最も多いのが保健衛生業で31.3%、次いで商業、製造業、運輸交通業で、保健衛生業の中で社会福祉施設が全体の24. 3%を占めており、介護労働者、中でも女性労働者の腰痛が多発している。
事例として、社会福祉法人尼崎武庫川園を紹介。特別養護老人ホーム、障害者支援施設就労継続支援などを運営している。法人で2016年から始まったストレスチェックでは、身体的負担度が標準よりかなり悪い一方、働き甲斐は標準よりかなり上となっている。
♦介護施設で抱える問題と改善
この法人の特養で働くYさんは、創立53年目を迎える施設の紹介と、介護施設で抱える困難な問題、解決に向けた動きについて具体的に報告。職員の夜勤は月に5回程度で、利用者は要介護度3以上の入所者が50人、ショートステイ2人、ターミナルケアの人もいる。長年にわたる人手不足が、職員の腰痛がなくならない大きな理由であると話した。また、「近年では、新型コロナが流行するなかで職員が揃わない状況が続き、人員が足りないときは休日出勤や残業をしており、無理をしないという前提が崩れている。人が足りないために2人介助が必要な移乗を1人でやってしまう状況も出てきている。ベッド上でのパット交換、陰部洗浄など、前屈姿勢での作業で腰を痛めている」など、問題について話した。事故原因を特定せず、労災を受けず働いている職員もおり、労働組合が中心となり、三橋所長の健康相談の実施や、衛生委員会でのアンケートもおこなっているという。
アンケートでは、「人数が少ないときは仕事が辛い」「トイレの移乗、前屈の姿勢でやっている、腰が辛い」「リフト等の利用で身体への負担が減らしていけたらいい」などの意見が寄せられた。
「腕や腰に力を入れなくてもベッド上で移動できるよう移乗シートの利用を始め、求めてきたリフトの機器導入も実現、導入にあたって研修に時間を割いている。職員の転倒もあり、就業前の準備体操、就業時間にストレッチ体操をするようにしたりしている」など、間題解決に向けた動きについて話した。
♦衛生委員会の取り組み
産業医としてこの施設に関わっている三橋所長は、衛生委員会で取り組んでいる20項目近くのアクションチェックリストを紹介。リストは、「怪我がないように角ばった箇所に丸みをつける」「作業がしやすいように整理整頓する」「スタッフの負担軽減になる工夫をする」「衛生的なトイレにする」「感染症対策、熱中症対策をとる」「換気を確保する」「十分な休憩時間を取る」利用者と職員、両方の対策が入っている。「心の健康や悩み、ストレス、人間関係について気がねなく相談できる窓口や体制を確保する」など、利用者職員、両方の観点で作られている。
♦厚労省「職場における腰痛予防対策指針」
また、腰痛対策について、2013年に改訂版が出された厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」の「福祉・医療分野等における介護・看護作業」で事業者が講じるべき対策について紹介された。指針では、「腰痛の発生に関与する要因の把握」 「リスクの評価(見積)」「リスクの回避・提言措置の検討及び実施」など、作業姿勢や重量負荷、作業時間や環境について、リスクの見積もり例が図やリストで示されている。
この中で、「抱上げ」について、「著しく負担がかかることから、全介助の必要な対象者にはリフト等を活用し、原則として人力による人の抱上げは行わせないこと」とあり、ルールになっているが、「知らない人は多いと思う」という。
三橋所長は、参考として「人を対象としない場合の重量制限」の法令を紹介した。それによると、断続作業では、18歳以上男性が55kg、女性30kg、継続作業では、男性で体重の40%以下、女性で20kg、男性の60%くらいまでと制限されている。「そうしたら当然、人を持ち上げることは無理になり、リフトやスタンディングマシーンを使っていく必要がある」という。この指針では、作業標準の策定について、「対象者ごとに、かつ、介助の種類ごとに策定すること」とされている。三橋所長は、「アンケートで「作成する時間が少なくてなかなかできていない」といったコメントもあったが、自己を防ぐうえでも腰痛を防ぐうえでも利用者の安全のためにもいい取り組みだと思う」と話した。
また指針では、作業環境の整備、健康管理、教育・訓練、協力体制、指針・マニュアル等の作成、リスクの再評価、対策の見直し及び実施継続などが挙げられているが、三橋所長は「計画を実施→実施結果を評価→評価を踏まえて見直し、改蕃していくことが大事だ」と指摘した。
最後に、腰を痛めないための注意点を説明、それを無意識にできるようにするためのミーアキャット体操古武術バージョンについて、写真や図を示しながら紹介した。
♦多面的な取り組みが必要
まとめとして、三橋所長は、「体操だけで改善するのは難しく、リフトやスライディングシートの使用など、多面的な取り組みが必要。また、衛生委員会の取り組みなどで、みんなで考え、工夫、改善していくことが実を結ぶと思う。セミナーなどで情報交換することも大事」と話した。