NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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有機溶剤・有害化学物質・感染症

新型コロナウイルス感染症は最大の職業病
上半期だけで前年上回る

2022/12/23
♦労災請求件数等の公表は179回目

新型コロナウイルス感染症に関する労災請求は、2020年3月に最初の1件の請求があり、2020年5月15日に厚生労働大臣が、初めての支給決定2件があったことを公表しました。  
厚生労働省は以降、平日ほとんど毎日、労災請求件数等の情報更新を続けた後、2020年12月4日現在分以降は毎週、2021年10月31日現在分以降は毎月に切り替えて、情報更新を続けています。2022年10月17日に、同年9月30日現在の状況が公表された。2020年4月30日現在分の公表以来、179回目。兵庫労働局は、2022年4月以降、請求件数・認定件数とも情報を提供しなくなりました。


♦新型コロナウイルス感染症は最大の職業病

2019年から2022年9月までの累計(表1)では、新型コロナウイルス感染症の労災請求 89,046件、認定63,709件、不支給436件。認定率は99.3%、処理率は72.0%という状況。なお、請求件数のうち遺族請求(死亡)に係る件数は197件で請求全体の0.2%、認定件数では165件で認定全体の0.3%となっています。職業病でもっとも多い業務上の負傷による 腰痛(災害性腰痛)でも年間認定件数は3千件前後であり、また、非災害性職業病でもっとも多いじん肺及び合併症の1979~2020年度の累計認定件数が46,695件であり、新型コロナウイルス感染症がかつない最大の職業病として猛威を振るっているといえます。


♦医療従事者等の増加が著しい

表2は、2022年9月30日現在の累計で、医療従事者等、医療従事者等以外、海外出張者の別に業種別の労災請求件数等を示しています。 
2022年3月31日現在の累計と比較すると、全体では、労災請求が31,324件から89,046件へ2.8倍の増加。認定は23,817件から63,709件へ2.7倍の増加。不支給は353件から436件へ1.2倍の増加。認定率は98.5%から99.3%へ増加し、処理率は77.2%から72.0%へ低下しています。遺族請求は、請求では166件から197件に増加し、認定では139件から165件へ増加しています。

医療従事者等については、労災請求が20,443件(全体の65.3%、以下同じ)から62,953件(70.6%)へ3.1倍の増加(割合も増加)。認定は15,601件(65.5%)から44,967件(70.6%)へ2.9倍の増加(同前)。不支給は225件(63.7%)件から266件(63.7%)へ1.2倍の増加。ただし、医療従事者等の不支給認定は、新型コロナウイルス感染症として労災請求されたものの実はそうではなく業務上でもなかった事例だとされています。認定率は98.6%から99.4%へ増加し、処理率は77.4%から72.0%へ低下しています。遺族請求は、請求では26件から36件に増加し、認定では26件のまま変わりません。

業種別では、医療業が、請求で全体の41.9%から45.1%へ、認定で42.1%から44.8%へ。また、社会保険・社会福祉・介護事業も、請求で全体の21.7%から24.3%へ、認定で21.7%から24.6%へ増加しています。その他業種は、請求で全体の1.7%から1.1%へ、認定で1.7%から1.3%へ減少しています。
医療従事者等以外については、労災請求が10,831件(34.6%)から26,136件(29.4%)へ2.4倍の増加(割合では減少)。認定は8,176件(34.3%)から18,693件(29.3%)へ2.3倍の増加(同前)。不支給は128件(36.3%)から170件(39.0%)へ1.3倍の増加。認定率は98. 5%から99. 1%へ増加し、処理率は76.7%から72.2%に減少しました。遺族請求は、請求では131件から152件に、認定では108件から131件に増加しました。

業種別では、社会保険・社会福祉・介護事業と医療業がもっとも多く、建設業、製造業、サービス業(他に分類されないもの)が言わば第二集団、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業がそれに次いでいます。認定率はもっとも低い農業・林業でも97.8%です。