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1日目の全体集会に続いて、2日目は10の分科会が設けられ、第1分科会「精神障害の労災認定」には矢野が、第2分科会「ハラスメントの相談対応」には西山が参加し担当しました。
◇第1分科会
♦精神障害の労災認定の現状
第1分科会では、精神障害の労災認定について、労災申請の基本的な手続きや複雑な労災認定基準のポイントなどを共有し、具体的な事例報告を基に経験や教訓を参加者で議論しました。
まず、ふれあい江東ユニオンの天野さん(東京労働安全衛生センター)より精神障害の労災認定の現状について解説されました。精神障害の労災は、請求件数は一貫して増加傾向にあるものの、支給決定件数は伸びておらず認定率は36.5% (2013年)から32.2% (2021年)に低下しているのが現状です。精神障害の労災認定基準として①認定基準の対象となる精神障害を発症していること、②精神障害の発症前6か月間において業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷などで発症したことは認められないこと、があげられます。
労基署は請求人の主張する職場の出来事について調査し、『業務による心理的負荷評価表』にあてはめて、その心理的負荷が弱・中・強のいずれかに該当するかを判断します。その結果、総合評価が「強」と判断された場合は労災認定となり、「弱」や「中」と判断されると不支給となってしまいます。労災認定に繋げるためには、労働者の主張の裏付けとなる証拠(同僚証言、客観的証拠)が重要となってきます。会社側が労災に協力せず、労働者の主張を否定することも多いため、労働組合においては会社との団体交渉で、労災申請手続きの協力や、労災申請に必要な資料を引き出すことが重要です。
♦事例の報告
成田さん(名古屋労災職業病研究会)より、精神障害既往歴のあるトラックドライバーがパワハラ、長時間労働により適応障害を発症し労災認定された事例を報告されました。発症直前の3ヵ月間の時間外労働時間が100時間を超えることについての出来事の心理的負荷の強度は「強」、同僚より継続して受けたセクシャルハラスメント、嫌がらせについての出来事の心理的負荷強度はそれぞれ「中」、軽微な輸送事故についての出来事の心理的負 荷強度は「弱」と判断されました。また、精神障害の既往歴については、Aさんが入社する前5ヵ月間の診療録により以前の精神障害は寛解状態に至っていたと判断され、運送会社での業務上の出来事さえなければAさんは適応障害を発症せず、寛解状態を維持していた可能性が高いと判断され労災認定となりました。
矢野からは高齢者施設の介護職員が悲惨な事故に遭遇しPTSDを発症したが労災不支給と判断された事例について報告しました(労働安全衛生10月号に掲載)。
また、山岡さん(全国一般労働組合福岡地方本部)より精神障害の労災認定の取り組み、障害者就労移行支援事業所の取り組みについて報告されました。全国的に障害者963万人のうち職につけている人は約50万人しかいないこと、労働組合としても障害をもつ労働者支援の取り組みが喫緊の課題であることから組合員一人1万円の出資、貸付を募り、障害者就労移行支援事業所を開設し、総合的な支援を行っていることを報告されました。
♦教訓や経験の共有
報告のあと、参加者で意見交換を行いました。具体的な取り組みを通じて、会社への対応、医療機関や労働基準監督署との対応問題、労災認定基準の問題点などが出されました。分科会に割り振られた時間内では消化しきれない問題が残されましたが、ネットワークを活用し、教訓や経験を日常的に共有し、ノウハウを活かすことができるようにする工夫が重要であると感じました。
また現在、「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」が開催され、精神障害の認定基準見直しの議論が行われています。認定基準が被災労働者の救済に繋がるものでなければならず、検討会の内容に注視していく必要があります。
◇第2分科会
♦相談対応ノウハウ
第2分科会では、ハラスメントに関する相談が増える中で、何に注意して相談を受けるのか、そしてどの様に当事者を支え、会社の貴任を明らかにしていけば良いのかを、具体的な事例(上手くいった事、失敗した事の両方)から、一緒に考え合いました。
まず、西山から、職場のいじめパワハラ相談ホットラインで活用している「相談対応マニュアル」について解説を行ないました。このマニュアルはホットラインの相談スタッフ用に作成したもので、法改正等に合わせて改訂を繰り返し最新のものは第8版となっています(希望される方には提供いたします)。
合わせて、10月9 ~10日に開設した全国一斉「職場のメンタルヘルス・ハラスメントほっとライン」の取り組みについて報告しました。
10月10日はWHOが定めたメンタルヘルスデーで、今回、全国労働安全衛生センターと各地のユニオンが連携し、全国11箇所に相談ポイントを設けホットラインを取り組みました。寄せられた相談の件数は97件でした。「パワハラ防止法」の定義には該当しないと思われる事例が多くありましたが、職場のギスギスした人間関係や雇用形態の多様化により「就業環境が害される」状況が浮かび上がりました。この労働環境を如何に改善して行くのか、その取り組みが大切になっています。
♦労働組合の役割
続いて、よこはまシテイユニオンの川本さん(神奈川労災職業病センター)より具体的事例の報告がされました。ユニオンとして取り組んでいる大樹生命のセクハラ労災と損害賠償訴訟、日本生命のハラスメントをめぐる団体交渉、病院でのパワハラ問題について、組合作成の要求書やビラを基に会社とのやりとりについて説明がありました。
「修復的正義」についての解説と共に、組合としてハラスメント問題を取り組むうえで、職場環境を良くし、二度とハラスメントが起きないように、そして一旦壊れた人間関係を如何に回復させるのかを意識して取り組む事が大切であると訴えられていました。
また、三菱電機で働き、長時間労働とパワハラにより精神疾患を発症し、よこはまシティユニオンに加入し交渉を行なっているAさんからも報告がありました。「労災は認定されたが、職場に戻ろうと思っていなかったし、戻れないと思っていた。ユニオンを通して9年間団体交渉を継続し、労働条件の改善や円満な職場復帰を勝ち取ることができた。裁判で勝ち取れる以上の成果を、労働組合を通じて得ることができた」 「そして会社の文化にも変化が生まれた」と実体験を基に話されました。
♦工夫と苦労
その後、参加者から具体的な事例の報告を受けながら交流を行いました。各ユニオンともハラスメントに関する相談が増えており、団体交渉や労働審判の活用など工夫した取り組みが行われている一方、苦労も多いことが報告されました。
「相談が多いが、聞くだけで終わるパターンも多い」「相談に寄り添いながら半年間繋がったが団体交渉には至らなかった」「電話で相談を受けると1時間や2時間もかかり組合的に負担になっている面もある」「相談に時間を取られ本来の組合の仕事が出来ないこともある」「パワハラをでっち上げられ、行為者にさせられるケースがある」「休職後に職場復帰しようとするが、産業医が復帰を認めず退職せざるを得ないケースがある」「団体交渉を行なっても、会社側が事実を認めず、言った言わないの争いになる」などの意見が出されました。
寄せられた参加者アンケートの結果はおおむね好評でしたが、 「ハラスメントの相談対応」といっても討論の切り口は無数にあることを実感しました。ユニオンに寄せられる相談が増えているだけに、経験交流がより大切になっていると考えさせられました。