NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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パワハラ・うつ病・精神疾患

第1回安全衛生セミナー
メンタルヘルスをテーマに小西理事長が講演

2022/10/21
9月29日、第1回労働安全衛生セミナーを神戸市中央区文化センターで開催した。「心の病気と職場のメンタルヘルス」をテーマに、小西達也安全センター理事長(ろっこう医療 生活協同組合東雲診療所医師)が講演。オンライン参加者を含め30人が参加した。

小西理事長は、職場のストレスや過労などが原因で起こる心の病気や基本的な精神療法について具体的に説明、周りの人がそのサインに気付くことの重要性や、同僚等から相談があったときの対処の仕方、相談活動の大切さについて話した。また、日本は国際条約の中で、労働者保護に関する重要な条約について批准しておらず、国際労働機関から問題視されていることや、国際連合による世界幸福度調査(評価項目はワークライフバランス、ジェンダー、子育て支援、高齢者福祉)で日本は54位であまり高くないことなども指摘した。

講演の概要は次の通り。
「うつ病や双極性障害は、現代の社会では個人の資質や自己責任に追いやられているが、後期資本主義が生んだ病」「2020年の自殺者数が11年ぶりに増加し、21,081人となった。2021年も横ばいだった。 女性と若年者が増加しており、雇用されている人は31.9%。コロナ禍で失業し、収入源からうつ病を発して自殺するケース、パワハラ、配置転換による過労や人間関係の悩み、昇進による過労などでうつ病になり自殺するケースなどが見られる」 「従業員調査では、パワハラを受けた人の対応は、何もしなかったが46.7%、同僚に相談したが14.6%、上司に相談したが13.6%、労働組合に相談したが2.4%だった」「うつ病は脳の変化が起こる病気であり『怠け』ではない。十分な休養が必要。精神療法では、治療中に自殺しないことを誓約させることや、治療が終わるまで人生の大きな決断をしないように指導することが特に重要だと言われている」「うつ病は、食欲不振や頭痛、動機、睡眠障害、胃の不快感、生理不順などの身体症状に現れる。口数が少なくなる、イライラしている、朝や休日明けに調子が悪い、遅刻・欠勤が増える、だるさを訴える、などのサインに周りの人が気づくことも大切」「同僚等から相談があったときは、できるだけ時間を確保し相手が安心して話せる場所で聞く、悩みを正面から受け止め真摯に落ち着いて話を聞く、安易な叱責・激励などにより精神的な負担を増加させないようにする、強いストレスがかかっていると考えられた時は管理者・健康管理者等と相談する、といったことが大切」

講演後の質疑応答では、うつ病の人への具体的な声のかけ方や発達障害の人などへの職場の対処の仕方など、様々な質問が出された。