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全国一斉アスベスト健康被害ホットラインを実施
8/24~8/25の2日間で18件の相談(神戸)

2024/09/20
NPO法人アスベスト被害者救済基金は、 8月24~25日の二日間、全国一斉アスベスト健康被害ホットラインを取り組みました。この取組みは、東日本を中心に活動を展開している「NPO法人じん肺アスベスト被災者救済基金」(神奈川県横須賀市)との共催で実施されました。全国一斉のホットラインは今回で8回目となります。昨年は二日間に全国各地から37件を超える相談が寄せられ、特に肺がんやじん肺の患者さんからの相談が多かったことが特徴でした。


◇増加するアスベスト被害と労災申請
2024年6月19日、厚生労働省は、2023(令和5)年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」を公表しました。2023(令和5)年度に全国の労働基準監督署が受け付けた石綿労災の請求件数は1,  304件(前年度は1,361件)で、支給決定件数は1,170件(前年度は1,079件)で、この数年、請求件数も支給決定件数も1,000件を超える状態が続いています。

また、厚生労働省は、毎年、人口動態統計に基づき、アスベスト特有のガンである中皮腫による死亡者数の年次推移を公表しています。2023年9月15日に公表された2022(令和4)年の中皮腫による死亡者数は、全国で1,554人となっており、増加傾向にあります。人口動態統計等により確認できる中皮腫による死亡者数の合計(1995~2022年)は31,402人となっています。


◇救済されていないアスベスト被害者
全国労働安全衛生センター連絡会議の調査によると、中皮腫を発症し、2022年までに労災保険や石綿救済法による補償・救済の認定件数は23,974件となっています。罹患者数のデーターは得られないため、死亡者数を分母として、中皮腫の救済率を検証すると23,974/31,402=76.3%となります。アスベスト特有のガンである中皮腫であっても、約24%の方が全く補償を受けていない状況です。

また、石綿肺がんとして2022年までに補償.救済された認定件数は10,276件で、中皮腫よりも大幅に少ない状況です。石綿肺がんについては、国際的な科学的コンセンサスは中皮腫の「2.0倍」とされています。今回、環境省の考え方である中皮腫の「1.0倍」という仮定で、中皮腫の死亡者数を分母として計算すると、10,276/31,402 = 32.7%となり、約 67%の方が全く補償を受けていない状況です。
国際的な考え方である「2.0倍」を分母にして計算するとその半分になるので、右綿肺がんを発症した方がいかに補償・救済されていないかは明らかです。


◇二日間で18件の相談
ホットラインは、専用のフリーダイヤルを利用し、西日本地域から発信された電話は神戸で対応しました。事前に神戸新聞と毎日新聞に紹介記事が掲載され、ホットライン当日は地元のサンテレビの取材があり、ニュースで報道されると共にネットニュースとしても紹介されました。

2日間で神戸の受付ポイントには18件の相談が寄せられました。今回、特徴的だったのは、過去にアスベス卜ばく露作業に従事された労働者や医師から胸膜プラークを指摘された方、すでに石綿健康管理手帳を取得されている方から健康不安を訴える内容や今後の補償に関する相談も多くありました。
健康不安を訴える方の中には、阪神淡路大震災時に瓦礫処理に従事した方や、ボランティア経験のある方からの相談もありました。


◇具体的な相談内容
・25年前、医師に間質性肺炎だと診断され、現在は呼吸が苦しく入院している。若い頃に地下鉄の電気工事を担当していた。アスベストの吹付けがある場所での作業であった。病気はアスベストと関係あるだろうか?
・建築業を50年間している。病院受診で肺が硬化していると指摘された。アスベストと関係あるか診察できる病院で診てもらい不安を解消したい。
・中皮腫と診断され緩和ケアを受けている。 65歳まで建築業で戸建て新築に従事。スレート、フレキシブル板を切断していた。
・阪神淡路大震災時、 1年間くらいポートアイランドで震災がれき処理に従事していた。また、民間家屋の解体も行いその際には埃がすごかった。健康に影響しないか心配。
・石綿手帳を交付されていて検診を受けている。今年の初めに肺がんと診断された。
・中皮腫と診断された。これから抗がん剤を受ける予定。労災の手続きはどのようにするのか教えてほしい。
・震災時ボランティアを行っており、建築の解体作業にも従事した。1年に1回レントゲンを撮っているが大丈夫だろうか?
・阪神淡路大震災の際、姫路の建設会社へ出稼ぎで何か月か解体作業に従事した。昨年食道がんで手術をした。アスベストと関係ありますか?
・父が中皮腫と診断され環境保全機構に申請したが却下された。最近、父の症状が悪化し、改めて検査を行ったところ中皮腫の確定診断を受けた。再度、申請することは可能か?


◇フリーダイヤルの周知が課題
神戸と横須賀の両基金は共同でフリーダイャル(0120-349-931)を設けており、日常的にもフリーダイヤルを通じて相談を受付けています。西日本地域からの発信電話は神戸に、東日本地域からの発信電話は横須賀につながる設定になっています。
ホットラインを主催した被災者救済基金からは、安全センターヘの協力依頼があり、早速相談者との面談を開始しています。


 

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