NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

労災・職業病・労働環境など
お気軽にご相談ください

TEL 078-382-2118
相談無料・秘密厳守
月〜金: 9:00-18:00

労災職業病・安全衛生の取り組み

アスベスト被害者救済基金 全国一斉アスベスト健康被害ホットラインを実施

2019/10/20
◆概要
8月2日(金)、3日(土)の二日間、全国一斉アスベスト健康被害ホットラインが開設されました。東日本を中心に活動を展開している「NPO法人じん肺アスベスト被災者救済基金」(神奈川県横須賀市)と「NPO法人アスベスト被害者救済基金」(神戸市中央区)が主催したのもので、全国一斉のホットラインは今回で3回目となります。
昨年は二日間で106件の相談が寄せられ、特に中皮腫や肺がん、じん肺の患者さんからの相談が多かったことが特徴でした。また、相談件数と内容からも、どこにも誰にも相談できずに諦めていた人が、まだまだ多く居ることを実感しました。

◆中皮腫の労災認定率は36.2%
6月26日、厚生労働省は、2018(平成30)年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」を公表しました。全国の労働基準監督署が受け付けた請求件数は1,163件(前年度は1,085件)で、支給決定件数は996件(前年度は987件)となっています。
また、厚生労働省は、毎年9月に、人口動態統計に基づき、中皮腫による死亡者数の年次推移を公表しています。咋年9月に公表された2017(平成29)年の中皮腫による死亡者数は全国で1,555人となっており、3年連続で1,500人を超えています。ところが、中皮腫の労災請求件数は、この数年間、約600件という状況です。しかも、労働災害として認められた件数は500件台という状況が続いています。2017年度の中皮腫による労災認定者数(564人)を死亡者数(1,555人)で割ると、認定率は36.2%でしかありません。アスベスト特有のガンである中皮腫であっても、3人に1人しか労災補償を受けていないのが現状です。

◆補償を受けられず埋もれたままの被災者
中皮腫の2倍といわれている石綿肺がんの労災認定件数は、2018年度437件で、この数年間、中皮腫の請求件数よりも少ない400件台が続いています。中皮腫の労災認定件数よりも約100人以上少ない状況が続いています。
2017年の中皮腫死亡者数を基に、石綿肺がんの死亡者数を推計すると3,110人となります。石綿肺がんの労災認定者数は334人ですので、認定率は10.7%です。石綿による肺がんの場合、10人に一人しか労災補償を受けていません。さらに、石綿によるじん肺(=石綿肺)が、間質性肺炎などの別の病名で片付けられ、なかなか労災申請に至らないケースもあります。本来、労災補償を受けられる被害者やその遺族が、埋もれたままになっている可能性は大です。

◆昨年の相談が労災認定へ
今年の相談件数は、神戸35件(ホットラインの前後含め40件)で、横須賀26件(ホットラインの前後含め27件)の合計61(件総合計67件)でした。神戸の相談内容を疾病別にみると、中皮腫6名、肺がん7名、石綿肺1名、びまん性胸膜肥厚1名となっており、総相談件数の4割強を占めました。また、医師から胸膜プラークを指摘された方や既に石綿健康管理手帳を取得されている方から、健康不安を訴える内容や今後の補償に関する相談も多くありました(7件)。
ホットラインの開設にあたり、今回も全国の読売新聞に公告を掲載しました。また、神戸新聞に紹介記事の掲載がありました。その記事は、昨年ホットラインに相談された方が、申請手続きを行い、労災認定されたという内容です。相談者Aさんのご主人は、神戸港で荷物を運ぶ「はしけ」の船頭をされ、2016年に肺がんで亡くなられました。はしけでは、石綿袋の運搬も行っており、Aさんのご主人は直接触る仕事はしませんでしたが、荷役作業員の近くに居るため「石綿の粉じんを吸った」と言われていたそうです。神戸新聞で大きく掲載されたことも有り、今回のホットラインには、神戸港で働いていた方から健康不安を訴える相談が多かったのも特徴でした。また、地元のサンテレビも取材もあり、テレビを観ての相談もありました。
アスベスト被害者救済基金では、このホットラインを契機に、相談用のフリーダイヤル(0120-349-931 =ミナシキュウキュウサイ)を常設しています。9月に入っても、「新聞を見た」という相談が入っています。引き続き、神奈川の皆さんとも連携し、被害者救済の活動を行っていきます。
 

労災・職業病・労働環境など
お気軽にご相談ください

TEL 078-382-2118
相談無料・秘密厳守
月〜金: 9:00-18:00

私たちについて