NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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腰痛・上肢障害・振動障害

労働安全衛生学校、腰痛・頸肩腕障害・指曲がり症などを学習

2013/12/20
12月1日(日)、第6回労働安全衛生学校を神戸市勤労会館において約35名の参加で開催しました。これまでは宿泊を伴う二日間の日程で開催していましたが、「二日間はきつい」「宿泊は負担」といった意見もあり、今回は日曜日の朝から夕方までのスケジュールで実施しました。今年の統一テーマは「筋骨格系疾患を考える」。いま介護・病院・福祉施設等で多発している腰痛・頚肩腕症障害等について、人間工学や心理学の視点も含めた予防対策や労災・公務災害認定の現状と問題点を5人の活動家・専門家を講師に迎え学習しました。

◆労働現場から学ぶ
まず、地元「神戸港湾における腰痛闘争」として、自らも腰痛を患っている全港湾神戸弁天浜支部の戸崎正巳書記長から、仕事で実際に使っている手鉤(てかぎ)の実物を示しながら、劣悪な労働環境下における過酷な重労働の様子などが説明されました。そして、参加者に説明した港湾労働の実態をより理解してもらうために、ひと昔前の荷役作業などが記録されている映像を見ながら詳しく解説が行われました。また、昭和50年代の神戸港湾における度重なる多数の腰痛労災認定闘争が、労災認定基準の改訂につながった歴史を説明し、組合闘争の大切さを訴えられました。
最後に、港湾労働からくる骨格系だけでなくじん肺・アスベスト疾患を含む全身的な健康破壊を「港湾病」・職業病として位置づけ、取り組みを強めていると締めくくられました。

◆「指曲がり症」裁判をめぐって
次に、学校給食等の調理職場で起きる「指曲がり症」をめぐって裁判闘争をしている自治労宝塚市職員組合から、裁判までの経過や地方公務員災害補償基金の対応などの報告がありました。会場には京都市・大阪市の学校給食職員組合の方たちも参加され、熱心に聞き入っておられました。これまでも過労死・過労自殺・アスベスト等の公務災害申請に関して、地方公務員災害補償基金の対応は労災保険と比べてもひどいもので早急に体質改善を含めた抜本的な改革が求められていると考えさせられました。

◆介護・福祉職場の健康管理
午後からは「介護・福祉職場の健康管理」として、公衆衛生・労働衛生の専門家として活躍されている奈良県立医科大学の車谷典男教授から、分かりやすい資料に基づき健康管理の具体的な基本的知識から介護・福祉職場で働く者として知っておくべき事柄まで幅広く解説していただきました。

◆腰痛予防対策
続いて、今春19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」が改訂されたことを踏まえ、「腰痛・頸肩腕障害をどう予防するか」のテーマでは二人の講師から貴重なお話しを聞きました。
まず、午前中に報告のあった宝塚市の指曲がり裁判原告の主治医で、意見書作成にも協力されている田島診療所の三橋徹医師が、人間工学に基づく職場改善アクションチェックリストを使用して、参加者を4班に分けてのグループワークを行いました。参加者同士も短い時間ではありましたが交流を深めながら学習することができました。
最後は神戸市を拠点に活動されている「持ち上げない看護,抱え上げない介護」を理念とし、看護・介護職の腰痛予防教育と対策サポートシステムの構築を目指している日本ノーリフト協会の保田淳子代表の講演でした。オーストラリアでの実践留学で習得したスキルと知識を、腰痛等が多発している日本の看護・介護現場に広めようと奮闘されている報告に参加者は深い感銘を受け学習会は終了しました。