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過労死・過重労働・脳心臓疾患
「過労運転事故を考える」学習会
2018/06/20
◆過重労働による交通事故
6
月
8
日、神戸市勤労会館において、過労死等防止対策推進兵庫センターが主催する学習会が行われました。今回のテーマは「過労運転事故死を考える」で、過労死弁護団の松丸正弁護士が講演を行いました。
県内では、パン屋に勤務していた男性
(28
歳)が帰宅中に居眠り運転で死亡した事故をめぐり、遺族が勤務先の会社に損害賠償を求める訴訟が行われています。また、昨年
10
月に、川西市の選挙管理委員会の男性職員が連転する公用車が車と衝突し
5
人が死傷する事故が発生しています。今回の学習会は、過重労働による交通事故の現状を考える機会となりました。
◆過重運転事故は使用者の責任
講演で松丸氏は、過労運転事故についての現状と問題点を提起しました。まず、広義と狭義の過労逓転事故があることを指摘。長時間労働の下で脳・心臓疾患を発症した時は運転中に拘らず、自宅でも通勤中でも業務上となるが、間題となるのは過重労働による注意力の低下や眠気が生じたことによる事故で問題です。
厚生労働省が公表した平成
27
年度の業務中の交通事故数(道路上・休業
4
日以上)は、全業種で
8,125
名(うち死亡
218
名)となっており、うち陸上貨物は
962
名(うち死亡
57
名)、交通運輸は
1,239
名(うち死亡
9
名)となっています。この数字からも、自動車運転労働者以外の過労による交通事故が多く含まれている可能性があると提起。
また、通勤途上での運転中の交通事故の場合は、通勤災害と認められれば業務上災害と同じ補償を受けることができるが、解雇制限について大きな違いがある。過重労働の結果、通勤途上において交通事故が発生したのであれば、その使用は使用者にあると訴えられていました。
◆グリーンディスプレイ事件
今年
2
月、過労運転事故をめぐり、横浜地裁川崎支部において、帰宅途中に事故死した男性の遺族と会社との間で和解が成立しました。この裁判(和解)の意義について解説がされました。
W
さん(
24
歳)は、(株)グリーンディスプレイでデパートや専門店等へ植物ディスプレイや観葉植物を設置・管理する業務に従事。徹夜の勤務の後、原付バイクで帰宅途中に、長時間労働や直前の徹夜勤務による睡眠不足や注意力の低下により居眠りし自損事故で亡くなりました。
W
さんの両親が会社に約
1
億円の損害賠償を求め争っていたのですが、裁判所から和解が勧告され、会社側も過労と睡眠不足が事故の原因と認めて約
7,600
万円を支払うことで合意しました。
裁判所は和解を勧告する意義を、「過労死に関する社会的関心が高まっており、過労死の撲滅は、喫緊に解決すべき重要な課題であり、過労死のない社会の実現は…社会全体としての悲願である」との見解を述べています。そして、和解による解決を行い、公表することにより、過労事故死の防止に向けた対策が推進されることを期待するとしています。
多くの事を学んだ学習会でした。
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6月8日、神戸市勤労会館において、過労死等防止対策推進兵庫センターが主催する学習会が行われました。今回のテーマは「過労運転事故死を考える」で、過労死弁護団の松丸正弁護士が講演を行いました。
県内では、パン屋に勤務していた男性(28歳)が帰宅中に居眠り運転で死亡した事故をめぐり、遺族が勤務先の会社に損害賠償を求める訴訟が行われています。また、昨年10月に、川西市の選挙管理委員会の男性職員が連転する公用車が車と衝突し5人が死傷する事故が発生しています。今回の学習会は、過重労働による交通事故の現状を考える機会となりました。
◆過重運転事故は使用者の責任
講演で松丸氏は、過労運転事故についての現状と問題点を提起しました。まず、広義と狭義の過労逓転事故があることを指摘。長時間労働の下で脳・心臓疾患を発症した時は運転中に拘らず、自宅でも通勤中でも業務上となるが、間題となるのは過重労働による注意力の低下や眠気が生じたことによる事故で問題です。
厚生労働省が公表した平成27年度の業務中の交通事故数(道路上・休業4日以上)は、全業種で8,125名(うち死亡218名)となっており、うち陸上貨物は962名(うち死亡57名)、交通運輸は1,239名(うち死亡9名)となっています。この数字からも、自動車運転労働者以外の過労による交通事故が多く含まれている可能性があると提起。
また、通勤途上での運転中の交通事故の場合は、通勤災害と認められれば業務上災害と同じ補償を受けることができるが、解雇制限について大きな違いがある。過重労働の結果、通勤途上において交通事故が発生したのであれば、その使用は使用者にあると訴えられていました。
◆グリーンディスプレイ事件
今年2月、過労運転事故をめぐり、横浜地裁川崎支部において、帰宅途中に事故死した男性の遺族と会社との間で和解が成立しました。この裁判(和解)の意義について解説がされました。Wさん(24歳)は、(株)グリーンディスプレイでデパートや専門店等へ植物ディスプレイや観葉植物を設置・管理する業務に従事。徹夜の勤務の後、原付バイクで帰宅途中に、長時間労働や直前の徹夜勤務による睡眠不足や注意力の低下により居眠りし自損事故で亡くなりました。Wさんの両親が会社に約1億円の損害賠償を求め争っていたのですが、裁判所から和解が勧告され、会社側も過労と睡眠不足が事故の原因と認めて約7,600万円を支払うことで合意しました。
裁判所は和解を勧告する意義を、「過労死に関する社会的関心が高まっており、過労死の撲滅は、喫緊に解決すべき重要な課題であり、過労死のない社会の実現は…社会全体としての悲願である」との見解を述べています。そして、和解による解決を行い、公表することにより、過労事故死の防止に向けた対策が推進されることを期待するとしています。
多くの事を学んだ学習会でした。