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介護・保育職場の腰痛問題 労働安全衛生セミナー

2017/03/20
月へんに要で腰。全ての動作に、労働に、腰が使われています。腰を曲げたり伸ばしたりの肉体労働はもとより、座っての作業でも腰は一生懸命バランスをとっています。労働者の健康を害する働き方が横行したり、あるいは使われ放題?働く多くの人が腰痛で悩んでいます。

225日、兵庫勤労市民センターで開催した労働安全衛生セミナーでは、整形外科医として多くの被災者に接し、治療にたずさわっている田島診療所の三橋先生に講演をしていただきました。

◆なぜ腰痛が起こるのか

作業との関連性からみて見れば、作業のやり方に関わる負荷が筋骨格系組織に作用することが、その発生や増悪の一要因となる多要因性の障害である。同じ作業の繰り返しにより、負担の蓄積。同じ姿勢と長時間の継続作業。身体を曲げている。などなど様々な原因から発症する。

作業のやり方:反復動作、力の発揮、偏った姿勢・肢位、拘束された姿勢・肢位(同じ
姿勢をつづける)などを含む。筋骨格型運動器からくる作業関連性蓮動器障害として、重い力が働いたときや偏った力、姿勢、心理社会的要因、多要因で起こる。時間的要因として、作業の速度、持続時間の長さ、作業と休息の比率、回復時間の不足などは必須の要因である。作業環境の要因として、寒冷、騒音など。心理社会的要因として、作業編成、精神的ストレスなどがある。

痛みの種類:炎症の痛み(侵害受容性疼痛)切り傷、火傷、打撲、骨折など。神経の痛み(神経障害性疼痛)病気などによる神経の切断・圧迫など。心理・社会的な要因によって起こる痛みなど、がある。

神経:日常生活で、このような疼痛感作の痛みがあまり問題にならない理由は、通常は「組織に侵害刺激が続く」様なことは痛いので避けるからである。作業関連性運動器障害の大きな間題は、痛みがあっても「仕事だから仕方がない」と、がまんして続けることにある。

関節によるもの軟骨は、6100年持つと言われている。しかし、二十歳過ぎから磨り減ってくる。骨と椎間板をみれば、内部で骨折する圧迫骨折などもある。朝起きて痛みのある所はレントゲン検査で確認した方がよい。

◆対策一人間工学に基づいた対策

作業環境・作業をする人の解剖、生理、心理学的特性に適合させる工学的技術の取入れ。原理としては、人を環境に合わせるのではなく、環境を人に合わせることである。人間工学は、産業医学の第一原則の「仕事の人間への適合」を実現する科学技術だとも言われている。

すなわち、働く業務の形に合わせないで、労働環境が人に合わせていく。そのことが労災を減らしていくことに繋がるという考えである。労働は痛みを感じても、我慢して継続してしまう。続かないようにすれば重症化しない、させないことが大事。原因を追究し、それらの腰痛の発生要因を取り除くことが大事だ。それには、参加型改善を取り入れる。多要因だから、同時多面的に作業の改善を行う必要がある。

◆治療

鍼灸治療で用いられる「経絡」を紹介する。筋肉が縮んでいるのが伸びて痛むのであり、伸ばすことで筋肉を和らげる効呆がある。ストレッチをこまめにする。ツボを見つけ、一つの動きを230秒続ける。

腹圧効果として、腰痛ベルトの着用や作業前後のストレッチ、前面のストレッチ、後面のストレッチ、側面のストレッチ、寝る姿勢(シムス位)などがある。

◆労災申請(腰痛の労災認定基準)

災害性では、①急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって発生したもの、②腰痛の既往性・基礎疾患を著しく悪化させたもの、となっている非災害性では、突発的な出来事でなく、腰に過度の負担のかかる仕事で発症したものとしている。①筋肉等の疲労を原因とした腰痛。として比較的短期間(約3ヵ月以上)の発症でも、約20キロ以上の重量物などを繰り返し中腰の姿勢での業務。毎日数時間、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持しての業務。長時間立ち上がることが出来ず同一の姿勢を持続しての業務。腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務。②骨の変化を原因とした腰痛として、相当長期間(約10年以上)にわたり継続して従事したことによる骨の変化を原因として発症した腰痛。約30キロ以上の重量物を労働時間の三分の一程度以上の業務。約20キロ以上の重量物を労働時間の半分程度以上に及んでの業務、となっている。

これらが認定基準としてあり、職業病と言われている。

◆労災認定状況

労災認定は、災害性で年間3,000人を超えるが、非災害性になるとわずか50人にも満たないのが現状だ。労働との因果関係や証拠を出していく困難性が問題となっていて、非災害性の申請には支援が必要だ。

以上の講演から、連続して腰に負担のかかる作業では、こまめに休息をとることの重要性や労働組合や安全衛生に重要な使命があることを考えさせられることとなりました。

その後、港湾労働からくる職業病の報告が行われ、全港湾労組が取り組んだ「港湾病」が紹介され、呼吸器を含め150人が労災認定されていることが紹介されました。事例検討では、認定されたもの、認定されなかったものが紹介され、検討が加えられました。

質問では、「高齢で腰の曲がった人に良いストレッチ方法は?」「最近は、脊柱管狭窄症の診断名が多いが」などがありました。AKA博多法、ANT、経絡治療三橋医師はこれまで、関節蓮動学的アプローチ(AKA)一博田法(はかたほう)と関節神経学的治療(ANT)、経絡治療(けいらくちりょう)を行ってきました。

関節の動きをよくすることで症状をよくするのがAKA一博田法、関節を圧迫するなどで神経に働きかけるのがANT、ツボを押す治療が経絡治療です。それぞれ、関節の痛みや運動障害にも用いられますが、脊髄(せきずい)や脳の障害による症状も改善して保つ方が多いです。また、経絡治療は内臓の病気にも用いられます。ご希望の方は田島診療所へご連絡ください。

 

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