NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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公務災害

Sさん公務災害認定闘争を支える会総会を開催

2019/07/20
◆亡くなってから7年の月日

2019年6月27日、木曜日の午後6時30分から、「公務災害認定闘争を支える会第5回総会」を明石市立勤労福祉会館の多目的ホールで開催しました。開会にあたり、Sさんと近年の自然災害による犠牲者の冥福を祈り、黙祷を捧げました。その後、主催者の挨拶を明石市職員労働組合の大岡委員長が支える会の世話人代表としておこないました。

続いて、ひょうご労働安全衛生センターの西山さんからニボルマブ(オプジーボ)使用要望の署名についての説明がおこなわれました。ニボルマブ(オプジーボ)は胸膜中皮腫のセカンドラインの治療薬として、保険適用薬とされたところですが、一方、Sさんが罹患した腹膜中皮腫や心膜、精巣鞘膜の中皮腫は非該当として保険が適用されていません。Sさんのような胸膜中皮腫以外の中皮腫患者にも治療の選択肢を一日も早く認めてもらうべく、参集の仲間たちに署名への協力を要請しました。

そして、経過報告、会計報告と進み、午後7時からは学習会として、「大阪・泉南アスベスト国賠訴訟」をたたかい勝利された伊藤明子弁護士を講師にお招きし、その閾争の経緯、立証のための手法や活動内容、そして泉南から全国に広がった支援運動などの経験や勝利した要因をお話しいただきました。

会の最後にはSさんの奥様が、支える会への参集へのお礼と今後のたたかいへの決意を述べられ、閉会となりました。明石市環境事業所の職員のSさんがアスベストばく露による悪性腹膜中皮腫を発症し、2013年10月15日に49歳で亡くなってから7年の月日が流れようとしています。

1995年1月17日の阪神淡路大震災で発生した瓦礫の撤去作業に従事した際に、瓦礫にふくまれていたアスベスト粉じんを吸引した可能性が高いこと、それ以外にアスベストを吸い込むことが考えにくいことから、地方公務員災害補償基金兵庫県支部に公務災害の認定を求めました。このたたかいは、基金支部が2014年3月26日に、公務外の認定をおこない、基金支部審査会がその審査請求を棄却したことで、現在、裁判闘争へと移行しています。支える会は、遺族を孤立させることなく、物心両面にわたる支援体制を確立し、この公務災害認定闘争を勝利するためにこれからも闘っていきます。


◆第8回口頭弁論

「支える会第5回総会」が開催された翌日の6月28日には、第8回目の口頭弁論が神戸地方裁判所でおこなわれました。公務災害認定申請時、その後の審査請求時において、私たちが提出し、訴えてきた内容と、地方公務員災害補償基金兵庫県支部による弁明の内容を、あらためて双方が補完し、主張しあう口頭弁論が続いています。ここ数回の口頭弁論では、阪神・淡路大震災のときに神戸市長田区において約1ヵ月間の巡回勤務をおこなった元警察官が、「アスベストの間接ばく露作業」により胸膜中皮腫を罹患したとして、公務災害認定されていた事案が取り上げられています。

私たちは、この事案と比較すればSさんが震災時に従事していた瓦礫の収集・速搬業務は「アスベストの直接ばく露作業」にあたることが明らかであり、同様に公務災害として認定されて然るべきと訴えています。