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2024年度過労死等防止対策推進シンポジウムin兵庫
働き方と休息時間の確保のバランスが必要

2024/12/23
2014年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、11月は過労死等防止啓発月間とされ、その一環として厚生労働省の主催によるシンポジウムが、全国48ヵ所で開催されている。兵庫では、11月26日に神戸市産業振興センターハーバーホールにて開催された。


♦健康で働くには何が必要か

労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターセンター長の高橋正也氏による「健康に働くには何が必要か」と題した基調講演が行われた。健康に働くためには職場環境が重要であることが強調され、物理的環境(気温や作業場の安全性)、化学的環境(有害物質の影響)、生物学的環境(感染症リスク)、心理社会的環境(ハラスメントや労働時間)、人間工学的環境(作業姿勢や負荷)という5つの視点について語られた。その内、心理社会的環境については、長時間労働の問題が取り上げられた。
国際比較データを基に、日本の労働時間が他国と比べて依然として長い現状を指摘し、過労死ラインに該当する労働者が存在し続けていることが示された。
さらに、高橋氏は睡眠の重要性について触れ、日本人の平均睡眠時間が短いことを指摘し、特に働く女性の睡眠不足が深刻であると説明した。睡眠時間の減少が、健康だけでなく判断能力や他者への思いやりといった社会的な行動にも悪影響を与えると語られた。時間外労働の上限設定や勤務間インターバルの導入によって睡眠時間を確保することが、労働者の心身の健康に直結するとの見解が示された。また、職場でのハラスメント問題も重要なテーマであるとして取り上げ、上下関係を背景とするパワハラや、顧客からのカスタマーハラスメントが労働者の精神的な負担となっている現状が報告された。これらの問題に対処するため、労働環境改善だけでなく、職場全体でハラスメントを許さない文化を構築する必要性が強調された。
高橋氏は講演の最後に、「健康に働く」という目標を実現するためには、職場環境の改善とともに、労働者自身のライフスタイルや休息のあり方を見直すことが重要であると語られた。働き方と休息時間の確保のバランスを取ることで、個人の健康と職場全体の生産性向上が両立可能であると締めくくった。


♦過労死を生み出さない社会づくりを

過労死遺族等の声として、過労死が家族に与える深い悲しみや、社会全体が背負う損失について語られた。特に、「大切な家族を失うという経験を他の人には繰り返してほしくない」という切実な声が寄せられ、支援体制の強化や労働環境のさらなる改善の必要性が強く訴えられた。
職場のハラスメントや長時間労働により、過労死や労災請求の増加が続いている。過労死ゼロを目指すため、行政、企業、個人等、社会全体で働く環境の改善のための取り組みを行うことの重要性を再確認した。

 

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