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全国一斉いじめパワハラほっとライン

2019/10/20
◆ホットラインを開設
9月10日はWHOが定めた「自殺予防デー」です。日本においても9月10日~16日は「自殺予防週間」と定められています。当センターに寄せられる相談のうち、職場のいじめパワハラに関する相談は増加傾向で、自殺につながる相談も増えてきています。また、全国的にも過重労働が原因で脳・心臓疾患を発症する事例や自殺につながる事案も増えています。
自殺予防のために「負の連鎖」を断ち切る一つの手段として、職場でのいじめ・パワハラに悩んでおられる方々の相談を受けるホットラインを、9月7日(土)~8日(日)の二日間、閲設しました。今回のホットラインは、全国労働安全衛生センター連絡会議メンタルヘルス・パワーハラスメント対策局の主催で、個人加盟の労働組合であるコミュニティー・ユニオン全国ネットワークのメンバーに協力して頂きました。
相談受付ポイントは、東京・名古屋・神戸の3ヵ所でした。神戸の相談対応には、ひょうごユニオンとNPO法人ひょうご働く人の相談室の皆さんの協力を得ました。相談件数は、東京11件、名古屋8件、神戸54件(事前の2件を含む)で合計73件でした。神戸の相談番号がマスコミで取り上げられたことも有り、二日間以降も10件の相談(9月21日まで)があり、現在も続いています。

◆相談者の傾向
相談者は、本人からが66件、犀親・妻・兄妹からが7件でした。相談者の性別は、男性が32名、女性が49名で、不明(記載なし)が2名でした。例年は女性からの相談が圧倒的に多い傾向があります。今回も女性からの相談が多かったのですが、例年ほどの大きな違いはありませんでした。
相談者の年代は、20歳代が5名、30歳代が12名、40歳代が12名、50歳代が16名、60歳代が9名で、不明(記載なし)が29名で、年代による偏りはありませんでした。また、相談者の雇用形態は、正社員が35名、非正規雇用が14名、その他(無職等)6名で、不明(記載なし)が28名でした。
職種としては、医療関係、介護関係、学校関係(保育所・幼稚園を含む)、事務職からの相談が多かったことが特徴的でした。

◆ホットラインの相談内容
今回の相談内容を、厚生労働省が2012年3月15日に発表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」の「類型」に当てはめたところ、下記のような件数となりました。
身体的な攻撃・・・・・・・・6件
精神的な攻撃・・・・・・・・54件
人間関係からの切り離し・・・15件
過大な要求・・・・・・・・・5件
過小な要求・・・・・・・・・3件
個の侵害・・・・・・・・・・1件
その他・・・・・・・・・・・17件
*相談内容が行為類型の複数に該当する場合は、複数にカウント
*その他は、主訴が上記の類型に非該当

◆パワハラの概念で収まらない相談
職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務付ける労働施策総合推進法が成立しましたが、その定義は「職場における優越的な関係に基づき、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、労働者の就業環境を害すること」とされています。
今回のホットラインに寄せられた多くの相談の中には、上記のパワハラの概念に収まらない、同僚や部下からのハラスメントに悩む内容も含まれていました。

◆職場環境の改善に向けた取り組みを
また、「上司に、何かにつけて前任者と比較され、他部署とも比較される。自分が責任を持つと言いながら、こちらに作業を押し付けるフォローが乏しい。自信を喪失し、不安感が強くなり、これから仕事を継続していく事に自信がもてなくなった」といった相談もありました。
2012年に厚労省が発表した「提言」では、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」とされていました。労働施策総合推進法では「人間関係などの職場の優位性」「精神的苦痛」が消えたためパワーハラスメントの定義が狭くなっており、前述した相談はパワハラの概念には収まらなくなります。
本年採択されたILO条約の暴力とハラスメントに関する定義は、「仕事の世界における『暴力とハラスメント』とは、単発的事象か繰り返されるかにかかわらず、身体的、精神的、性的または経済的危害を目的とした、または危害を引き起こし若しくは危害を引き起こす可能性のある、一定の許容できない行為及び慣行またはその脅威をいい、ジェンダーに基づく暴力及びハラスメントを含む」とされています。精神的あるいは肉体的な影響を与える言動や長時間労働・過重労働によって、人格や尊厳を害し、労働条件を悪化させ、労働環境を害する目的や行為はハラスメントです。これらは行為者個人の間題ではなく、企業体質・構造上から生み出されている問題なのです。
厚労省の調査によると、「過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた者におけるその後の行動」は、「人事等の社内の担当部署(相談窓口を除く)に相談した」が9.7%、「社内の相談窓口に相談した」が8.6%、「会社が設置している社外の相談窓口に相談した」が3.6%でした。「労働組合に相談した」は3.5%で、「なにもしなかった」が圧倒的に多く41.8%という状況です。
「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は全国で7万件を超える(厚労省発表)状況の中で、社内はもちろんとして相談窓口の充実が求められています。合わせて、ハラスメントの根絶に向けた職場環境の改善が、労働組合に間われています。

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